スレート屋根の葺き替えにお薦めの屋根材、工法
ここにご紹介する屋根材、工法は、屋根屋が特に儲かる工事ではありません。私がいろいろ調べた結果今の時点で(2019年 3月時点)の良い材料と工法をお知らせします。メーカーと提携しているからこの屋根材が良い、屋根屋が楽だから、マージンが多いから薦めているのでもありません。
また何故お薦めするのか?理由も明らかにしたいと思います。そうでなければお客様は納得しないと思っています。一番多いスレート屋根の葺き替え工事です。
NEWライナールーフィング、石粒付鋼板、通気工法がお薦めです
お薦めの理由:
- 耐用年数 50年の屋根材
- 耐用年数30年のルーフィング
- 通気工法により夏の暑さに強い断熱性能
- ガルバリウム鋼板より1割程度高いだけ
- 雨音がしない石粒付鋼板
価格を考えれば、ガルバリウム鋼板や石粒付鋼板のカバー工法が良いと思います。しかし、夏の暑さ対策、雨音の対策を考えたとき、特に断熱とコストを鑑みたとき、お薦めは現在のところ、この屋根材と工法がベストと考えます。断熱はもっとお金をかて他の方法もありますが、コストパーフォーマンスを考えました。通気工法は、夏のことを考えると効果と費用が最もバランス良くマッチングした工法です。また、石粒付鋼板を選ぶことにより耐用年数は長い50年です。ルーフィングもそれに合わせて30年以上もつもの(NEWライナールーフィング)を選びました。
主な材料と工法:
スレート材を撤去し、下地を重ねて間に空気層を作る通気工法を採用
仕上材:石粒付鋼板(ディプロマット、エコグラーニ:耐用年数:50年)
ルーフィング:NEWライナールーフィング(耐用年数:30年以上)
本来なら石粒付鋼板とルーフィングの耐用年数は同じが良いのですが、30年以上の耐用年数を持つルーフィングは、同じ田島ルーフィングのマスタールーフィングしかありません。(耐用年数:60年)価格は平米¥5,000~¥6,000でお金に余裕のあるお客様は選んでも良いと思いますが、ちょっと予算的に厳しいと考えます。ルーフィングについて
また、通気工法は、カバー工法より断熱性能が良く、夏、暖まった空気を自然換気で入れ替えられるので、より断熱効果が得られるのが特徴です。通気工法では石粒付鋼板、ガルバリウム鋼板、シングルとトタン屋根と施工が可能です。 ・・・通気工法の断熱性能
何故、新しいガルバリウム鋼板ではなくて、石粒付鋼板かというと、耐用年数が新ガルバリウム鋼板は35年以上ですが、石粒付鋼板は50年ですが、価格は石粒付鋼板(ディプロマット)は¥7,000/平米程度とガルバリウム鋼板と比較してそんなに高くはなく、且つ、50年の耐用年数が魅力です。
施工費用(提携屋根屋の費用概算)
通気工法+石粒付鋼板+NEWライナールーフィング:
この工法の工事費用を見てみます。屋根の例として、下のようなものを想定します。
葺き替え項目 | 金額 | 単価 | 数量 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
スレート撤去費用 | ¥146,340 | ¥1,800 | 81.3 | 平米 | |
廃材処理費用 | ¥121,950 | ¥1,500 | 81.3 | 平米 | |
桟木施工費用 | ¥81,300 | ¥1,000 | 81.3 | 平米 | 通気工法の為、空気層を作る為に下駄 |
コンパネ(二枚目) | ¥162,600 | ¥2,000 | 81.3 | 平米 | 通気工法の為 |
ルーフィング施工費 | ¥ 73,170 | ¥900 | 81.3 | 平米 | NEWライナールーフィング 耐用年数:30年 |
石粒付鋼板 本体施工費 | ¥ 569,100 | ¥7,000 | 81.3 | 平米 | ディプロマットかエコグラーニ仕様 |
棟部分施工費用 | ¥ 131,800 | ¥4,000 | 32.95 | m | 2階建大屋根の棟 |
軒先水きり部分 | ¥ 78,180 | ¥2,000 | 39.09 | m | 軒先に施工する部品、軒先唐草 |
けらば部分雨抑え | ¥ 0 | ¥3,000 | 0 | m | 切り妻屋根の横部分 |
壁の取合部分雨抑え | ¥ 0 | ¥4,500 | 0 | m | 一階下屋の壁と屋根との間の部品 |
谷部分 | ¥ 27,440 | ¥4,000 | 3.43 | m | 谷板金施工 |
足場設置&解体費用 | ¥ 162,400 | ¥800 | 203 | 平米 | 工事の為の足場費用 |
屋根工事の小計 | ¥ 1,554,280 | - | - | - | - |
諸経費(工事費の5%) | ¥ 77,714 | - | - | - | - |
税抜き合計 (千円未満四捨五入) 概算のため | ¥ 1,632,000 | - | - | - | - |
NEWライナールーフィング、石粒付鋼板、カバー工法のお薦め
屋根材、NEWライナールーフィング、石粒付鋼板は同じですが、スレート屋根の葺き替え工事で良く契約を頂くカバー工法です。ガルバリウム鋼板より耐用年数が長い石粒付鋼板を使います。
お薦めの理由:
新ガルバリウム鋼板の本体施工相場:¥6,500/平米、石粒付鋼板の本体施工費用:¥7,000/平米(提携屋根屋さん)と新ガルバリウム鋼板と石粒付鋼板の価格差は、それほど高くなく、石粒付鋼板の耐用年数が50年と高く、表面の石粒が雨を拡散し、雨音がしないことがガルバリウム鋼板より有利な点でお薦めです。
主な材料と工法:
スレート材の上からルーフィング、石粒付鋼板を施工する工法です(カバー工法)
仕上材:石粒付鋼板(ディプロマット、エコグラーニ:耐用年数:50年)
ルーフィング:NEWライナールーフィング(耐用年数:30年以上)
施工費用(提携屋根屋の費用概算)
葺き替え項目 | 金額 | 単価 | 数量 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ルーフィング施工費 | ¥ 73,170 | ¥900 | 81.3 | 平米 | NEWライナールーフィング 耐用年数:30年 |
石粒付鋼板 本体施工費 | ¥ 569,100 | ¥7,000 | 81.3 | 平米 | ディプロマットかエコグラーニ仕様 |
棟部分施工費用 | ¥ 131,800 | ¥4,000 | 32.95 | m | 2階建大屋根の棟 |
軒先水きり部分 | ¥ 78,180 | ¥2,000 | 39.09 | m | 軒先に施工する部品、軒先唐草 |
けらば部分雨抑え | ¥ 0 | ¥3,000 | 0 | m | 切り妻屋根の横部分 |
壁の取合部分雨抑え | ¥ 0 | ¥4,500 | 0 | m | 一階下屋の壁と屋根との間の部品 |
谷部分 | ¥ 27,440 | ¥4,000 | 3.43 | m | 谷板金施工 |
足場設置&解体費用 | ¥ 162,400 | ¥800 | 203 | 平米 | 工事の為の足場費用 |
屋根工事の小計 | ¥ 1,042,090 | - | - | - | - |
諸経費(工事費の5%) | ¥ 52,105 | - | - | - | - |
税抜き合計 (千円未満四捨五入) 概算のため | ¥ 1,094,000 | - | - | - | - |
スレート屋根から屋根を変える工事には、2つのお薦め工法がありました。この2つの違いは、大きく断熱性能、特に夏、石粒付鋼板は金属材料なので、太陽の熱射とまともに受けると屋根の表面温度は、70度、80度にもなります。それを少しでも緩和する為に通気工法が考えだされました。
では、カバー工法には断熱性能がないのか?と言えば、そんなことは無くて、既存のスレート材が断熱材の役割をします。その実験もしてみました。
グラフ1: スーパーガルバリウム鋼板のみの屋根とスレート屋根をガルバリウム鋼板でカバーした屋根との温度変化の比較です。
黒のグラフ: ガルテクト:アイジー工業のスーパーガルバリウム鋼板の屋根の場合の部屋の中の半日の温度変化、8月の真夏に測定したもの。
緑のグラフ: 同じ日に測定した、スレート材の上に同じガルバリウム鋼板(ニチハ株式会社の横暖ルーフS)を施工したグラフ
スーパーガルバリウム鋼板、横暖ルーフSとメーカーは違いますが、同じ組成、作りの次世代ガルバリウム鋼板です。この両者の断熱性能は実験から同じと言えます。このこの実験では、外気温と比較して決して涼しくはなりませんが、カバー工法の方が明らかに断熱性能は良いと言えます。
次は、通気工法とカバー工法との断熱性能の比較です。
カバー工法と通気工法は同じ同日、同時には実験していません。しかし、温度のカーブの形こそ違いますが、2つのグラフから、カバー工法よりは、通気工法が断熱性能的に良い結果を出していると思います。日によって温度の分布曲線が違いますが、通気工法は、外気温に比較してカバー工法よりは低い温度を示していました。
つまり、この実験ではスレート材のガルバリウム鋼板によるカバー工法より、通気工法がより断熱性能が優れているといえると思います。お客様の屋根が同じ結果になると保証はできませんが、理論的に考えても、夏、暖まった下地材の間の空気を自然に循環して新しい空気をゆっくりではありますが、いれた方が屋根の温度は下がるし、部屋の温度も下がるのは当然と言えば当然です。
もっと部屋の温度を下げる方法、屋根材はないのか?
通気工法のグラフを見ても精々外気温よりわずかに温度は低くなるだけです。もっと部屋の温度を下げる方法はないのか?と良く聞かれます。方法はたくさんありますが、屋根の部分でのリフォームによる断熱はここらが技術的、コスト的に限界と思っています。
空気層や断熱材をもっと厚く、50mm、100mm、200mmと増やせば断熱性能は上がると思います。しかし、コスト、費用も上がります。100mm以上だと屋根の構造を変えなければならない事態になるかもしれません。また屋根の高さが変わると、雨樋の架替えもしないといけないことなります。コストがどんどん増加します。
もし、天井裏、小屋裏があるのなら、屋根にお金をかけるのなら、その天井裏に断熱材を敷き詰める方法がの方がコストもそんなにかけずに、もっと効果的に断熱ができます。
・・・これにつては、問い合わせしてください。私の体験談を交えてアドバイスいたします。
スレート屋根のお薦め屋根材、工法は以上です