屋根工事の方法、工法

通気工法/低コスト断熱工法、目的と効果

通気をすることで屋根の温度を低くする断熱通気工法

通気工法とは、下地材を二重にして、間に隙間を設けて自然換気を取り入れた工法のこと。この隙間にある空気層が断熱の機能を持ち、自然換気をすることにより断熱の効果を高めることができる、低コストで優れた断熱工法。特に夏の暑さ対策に効果的。

真夏、屋根の表面温度は、80度以上にもなり、エアコンの電気代がうなぎ登りになります。少しでも屋根からの熱気、熱エネルギーを軽減するのが屋根の断熱です。いろいろな方法がありますが、空気は断熱材として優秀な素材で無料ですので、これを上手く使った断熱の方法が通気工法です。

通気工法解説図

 

ガルバリウム鋼板による通気工法断面図

下地材の上に約35mm程度の桟木を入れます。その上に二枚目の下地材(コンパネ)を敷いて、間に空気層を作ります。この間を自然換気することにより、夏の熱くなった空気を換気して、屋根を冷やすのです。とても賢い屋根の冷却方法になっています。費用も最低で済みます。

ガルバリウム鋼板の通気工法による温度特性実験

この工法は、いろいろな屋根材で応用ができます。一番多いケースが、瓦を撤去して、金属材料であるガルバリウム鋼板に屋根材を替えた場合です。耐震の為、瓦が重いので軽い金属屋根にするときにいきなりガルバリウム鋼板にすると、特に夏の暑さを心配されるお客様が多いです。最近のガルバリウム鋼板屋根材は断熱材が標準で入っていますが、更に夏の暑さ対策として、通気工法を薦めています。

ガルバリウム鋼板屋根とガルバリウム鋼板での通気工法の温度差を実験してみました。

ガルバリウム鋼板 VS 通気工法+ガルバリウム鋼板の温度比較

通気工法の断熱性能グラフ

  • ガルテクト:アイジー工業のガルバリウム屋根材、スーパーガルテクト
  • 通気工法+横暖ルーフS:ニチハ株式会社のガルバリウム屋根材、横暖ルーフαS

ガルテクトのみと通気工法を使った横暖ルーフαSとを2つの実験BOXに施工し、内部の温度変化を電子温度計で測定したものです。

結果:

気温の最高はこの日、32.5度程度で、ガルテクトの方は40度を超えていました。一方通気工法と横暖ルーフαSでは、時間がずれて最高32度付近で止まりました。その温度差は明白に違っていました。通気工法はエアコンではないので、涼しくはなりませんが、通気工法の効果はありと考えます。

通気工法:温度比較の実験設備:

断熱性能試験BOX

実験BOXです。手前は気温を測定するBOXで、いずれも中に電子温度計を置いて、5分間隔、10分間隔で温度を測定しました。グラフは測定開始時刻と停止時刻が設定でき、3つの温度計で同時に測定ができます。これで、約半日の連続測定をしました。

 

jinncatsuuki

石粒付鋼板での通気工法

通気、換気棟&軒先の吸気口

左の写真:屋根のてっぺんに排気用の棟換気を設置

右の写真:吸気のために軒先に取り入れ口を設置

通気工法解説図2

 

石粒付鋼板&通気工法・ガルバリウム鋼板の欠点を補った組み合わせ

この施工例はコロニアルの葺き替え案件でしたが、夏の暑さ対策、雨音対策、そしてなるべく長持ちの屋根にしたいという要望で、ベストの屋根材と工法を提案しました。そして5社ほど相見積をとり、お助け隊の提携会社が契約になった工事です。場所は神奈川県です。

 

コロニアルの葺き替えでは、ガルバリウム鋼板が一般的ですが、要望によっては別の屋根材がお薦めの場合があります。価格ももちろん重要です。価格から行くのか?屋根材の機能、性能からいくのか?お客様によって様々ですが、今回は仕様決めが先行した案件です。お客様の心配は;

1:軽い屋根材が良いが、夏暑いので、その対策をして欲しい

2:二階は寝室、寝ている間に雨音で目がさめることがあるのでそのことも考慮したい。

3:費用を考えてなるべく安いカバー工法で見積をお願いしたい。

とこんなご要求がありますした。予算は特におっしゃいませんでしたが、この3つを実現するべく屋根材と工法の提案をしました。ガルバリウム鋼板でのカバー工法は良く知られていますが、雨音のことはここから心配されたと考えています。これはガルバリウム鋼板の特性上しかたないので、雨音のしない軽量な屋根材;石粒付鋼板の提案、そして断熱の対策として費用対効果の高い通気工法の提案をしました。おのおのの実験値を示してお客様のご意見を伺いました。

通気工法の遮音性能

遮音についても通気工法は効果的です。

 

スレート屋根からガルバリウム鋼板へ屋根材を変更すると、雨音がするのではないか?という問い合わせもあります。確かにトタンやガルバリウム鋼板のような金属屋根では、雨音がします。その対策としても通気工法は威力を発揮します。雨音の比較も実験してみました。下の雨音を聞き比べてください。

ガルバリウム鋼板のみの雨音(横暖ルーフαS)

通気工法によるガルバリウム鋼板の雨音(横暖ルーフαS)

※降らせている水は、雨量に換算して、一時間に60mmです。これは台風並みの雨量で土砂降りと言って良いくらいの雨量になります。効果は明らかです。

石粒付鋼板、トタン、アスファルトシングルも適用可能

この通気工法が使える一番上の屋根材は、ガルバリウム鋼板だけではありません。同じ金属のトタン屋根、石粒付鋼板(ジンカリウム鋼板)、アスファルトシングルでも施工ができます。そしてその単体より通気工法にしたほうが、断熱性能はアップするはずです。

 

※あくまでも実験BOXでの実験ですので、全ての屋根でこの結果になるかは、保証できませんが、一つの参考データとして聞いてください。

通気工法の解説は以上になります。

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