ガルバリウム鋼板カバー工法欠点と対策

耐震性の問題/カバー工法デメリット

カバー工法の欠点4

ガルバリウム鋼板カバー工法の問題/屋根が重くて地震に弱くなる?

確かに重くなりますが、その影響は軽微です。屋根だけの比較ではなく、耐震性は家全体の重量を考えて計算します。屋根の重さだけでは正しい認識ではないです。

ガルバリウム鋼板によるカバー工法の問題点は下の項目でここでは 4. の耐震性についてです。

  1. スレート屋根の上にルーフィングを施工するのに問題、粘着シートをはるべき
  2. 下地が劣化している状態でスレートの上にカバー工法をやるのが問題
  3. カバー工法をしてある屋根に更にカバー工法は不可(カバー工法の3重施工)
  4. 屋根の重量が増えるので耐震的に問題がある(多少問題という言い方が多い)
  5. 雨漏りに気付くのが遅れる可能性がある。
  6. カバー工法は太陽光パネルの設置ができない
  7. 選択できる屋根材が限られる
  8. 部分修理が困難、嵌合式のみ
  9. 古い屋根材がそのままなので、この先20年、30年も下の材料がもつのか?
  10. 古い屋根材、苔、カビなどそのまま残すので、心理的に気持ちが悪い。汚いものには蓋というのが気に入らない。
  11. 火災保険が使えなくなる可能性がある。

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屋根の重量は増えます/ではどのくらい増えて、耐震性がどのくらい悪くなる?

耐震性は少し悪化しますが「そんに心配するほど悪化しない」が結論です。

ガルバリウム鋼板は軽いので、ガルバリウム鋼板でカバーしても家全体の総重量は致命的に増えません。よって耐震性に重要な悪化はありません。ガルバリウム鋼板は平米あたり5kg、100㎡で500Kgになりますが、家全体としては軽微な重量増なのです。更に解説します。

影響大なのか?軽微なのか?どちらなんだ?と不安になるかもしれません。サイトや屋根専門の業者はきちんと数字で示せないので、お客様は混乱します。では耐震への影響を計算してみます。

スレート屋根にガルバリウム鋼板でカバーをした計算をします。石粒付鋼板、アスファルトシングルでもほぼ同じ計算で数値も似たりよったりです。結論も同じです。

屋根が重くなるのだから、耐震は悪くなるのは当たり前。正しいですが、ではカバー工法を諦めるほど悪化するのでしょうか?具体的な数字、耐震とはどうやって計算するのでしょうか?

どのサイト、屋根屋も答えていないので、お助け隊が計算してみました。そもそもこの計算は屋根屋の仕事ではないと思うのですが、建築会社、工務店も出していないので、よく分からないというお客様が多いです。

ちょっとややこしいですが、科学的に計算してみます。詳しい計算・詳細な解決は「スレートのカバー工法は耐震に不利か?」のページを見てください。また、耐震診断とは何を計算してどの数値が倒壊するのか?をここでは簡単に解説します。

木造家屋の耐震診断で倒壊するかどうかの科学的に判断するのが、耐震診断です。これは2つの数字を基に計算されます。それは、建物の保有する耐力の数字と必要耐力(地震の力)の2つです。

木造の家屋・建物の耐震評価点は次式で計算されます。(コンクリートのビルなどは別計算)

建物の耐震評価点 = 建物の保有する耐力 / 必要体力(地震の力) 

この評価点数でその木造の家が倒壊するのか?危険なのか?を評価します。必要耐力とはその家を動かす為に加わる地震の力です。これは家の総重量に比例して、家全体の重さから計算されます。建物の保有する耐力とは、地震の力に逆らって倒壊しないように働く力・耐力です。これらを積算するのは大変で、いろいろな耐震対策をモデル化してその耐力をひとつづつ計算し、合計を求めます。家の倒れない力です。

これらを計算した結果、その家が倒壊するかどうかを評価すると

  • 1.5以上:倒壊しない
  • 1.0~1.5一応倒壊しない
  • 0.7~1.0未満:倒壊の可能性あり
  • 0.7未満:倒壊の可能性が高い

になります。抽象的な話では分かりにくいので、具体的な例を提示します。次のサンプルの家を考えます。少し小ぶりの二階建ての家です。計算が簡単になるようにモデルを考えました。

耐震住宅サンプル

スレート屋根の二階建て家屋、建坪(1階の面積):31㎡、二階床面積:22.7㎡、屋根の面積は約70㎡、在来工法、外壁は鉄網モルタル、吹付け塗装壁、内壁は石膏ボード張り、床:畳部屋一部、その他は板(フローリング仕上げ)、天井:化粧合板仕上げ、の条件で家全体の重量を求めます。

この家の総重量は; 約16.9トン(16,900Kgでスレート屋根を含みます)、カバー工法でガルバリウム鋼板を加えると約350Kg重くなります。家の総重量が 16,900Kgで増えるのが350Kg、割合にして約2%重くなります。どうですか?「致命的な重量の変化」と思いますか?

350Kgを加えた家の総重量は、17,250Kg、耐震対策は何もしないので、家の保有耐力は同じでそれぞれガルバリウム鋼板でカバーする前と後での耐震の評価点を計算します。

スレート屋根の場合の評価点 =  1.27

ガルバリウム鋼板が加わった評価点 = 1.24

もともと1.0~1.5一応倒壊しない家を想定しましたので、ガルバリウム鋼板でのカバー工法をやって、「倒壊の可能性がある」に変化するかを見てみました。計算結果の評価は「一応倒壊しない」で変化ありません。当然数値はほんの少し悪化しましたが、その悪化する割合は極僅かです。と私は思いますがいかがでしょうか?この数字を見て判断するのは、お客様です。いや悪化したのだから、「やはりカバー工法は止めておこう」という判断もあります。

屋根屋は工事金額が増えて喜ぶはず?です。

詳しいこのモデルでの耐震の計算方法は;「スレートのカバー工法は耐震に不利なのか?」のページを見て欲しいです。また、木造家屋の耐震診断についても更に詳しく書いている「屋根の耐震診断/耐震評価と巨大地震への備え」も一緒に一読してください。

ガルバリウム鋼板カバー工法の耐震についての問題は以上になります。

ガルバリウム鋼板カバー工法、耐震の悪化?のまとめ

耐震診断は屋根だけの重量増では決定できません。家全体の重さで計算されるので、ガルバリウム鋼板の重量増は、耐震の評価点を致命的に悪化させません。

 

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