トタンを他の材料にできる条件とは?
トタンは雨仕舞が良い為、勾配が2.5寸未満でも施工可です
トタン屋根と言っている、瓦棒形式の屋根、これを撤去して他の材料にしたいと思うとき、使うことのできる材料の条件があります。勾配が2寸5分以上の傾きがあれば、例えばガルバリウム鋼板の横葺き材料が施工できます。瓦棒から「瓦」に葺き替えは重量が重くてできませんが、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングルには、勾配が2寸5分以上あれば交換できます。逆に勾配が2寸5分未満の場合は縦葺きのトタンにするか、縦ハゼの形式にしなければなりません。
屋根の勾配、傾きとは?
屋根の勾配を表す単位として、昔の言い方”寸”を使い、縦と横の比で言います。例えば下のようです。
この傾き、勾配が2.5寸以上あると、ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングルなどの横葺きの材料が使用できます。2.5寸未満の場合は同じトタン(瓦棒形式)か縦ハゼを施工するしか方法がありません。
トタン(瓦棒)を撤去して軽量な材料を施工する費用
勾配が2.5寸以上あると確認できたら、トタンを撤去して下地材をチェックし、そのまま使えるなら、軽量で横葺きの材料が施工できます。2.5寸未満の場合の瓦棒屋根葺き替え方法、価格は別ページで案内しています。では各横葺きの材料での葺き替え費用の案内です。サンプルの家を考えルーフィングからの費用になります。
概算の為のサンプルの家:

建坪:15.8坪(52㎡)、平屋建て、3LDK
材料:溶融亜鉛メッキ(トタン)
形式:瓦棒 勾配:2.5寸、
棟の全長:9.6m
軒先の全長:19.2m
けらばの全長:16m
トタンからガルバリウム鋼板へ
工事項目 | 金額・費用 | 単価 | 単位 | 数量 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
税抜き工事計 | ¥ 724,000 | - | - | - | 概算の為千円未満四捨五入 |
内訳: | - | - | - | - | |
ルーフィング施工費用 | ¥ 69,300 | ¥900 | ㎡ | 77 | Newライナールーフィング仕様 |
ガルバリウム鋼板施工費用(材料込) | ¥ 500,500 | ¥6,500 | ㎡ | 77 | 横暖ルーフαS仕様保証25年 |
その他部品施工費用 | ¥120,000 | 一式 | - | - | 本体以外の部品 |
足場の費用 | - | - | - | - | 平屋の為不要 |
屋根工事の小計 | ¥ 689,800 | - | - | - | |
諸経費(工事費の5%) | ¥ 34,490 | - | - | - |
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トタンからジンカリウム鋼板へ
工事項目 | 金額・費用 | 単価 | 単位 | 数量 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
税抜き工事計 | ¥ 849,000 | - | - | - | 概算の為千円未満四捨五入 |
内訳: | - | - | - | - | |
ルーフィング施工費用 | ¥ 69,300 | ¥900 | ㎡ | 77 | Newライナールーフィング仕様 |
ジンカリウム鋼板施工費用(材料込) | ¥ 539,000 | ¥7,000 | ㎡ | 77 | ディプロマット仕様保証30年、耐用年数50年 |
その他部品施工費用 | ¥200,000 | 一式 | - | - | 本体以外の部品 |
足場の費用 | - | - | - | - | 平屋の為不要 |
屋根工事の小計 | ¥ 808,300 | - | - | - | |
諸経費(工事費の5%) | ¥ 40,415 | - | - | - |
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トタンからアスファルトシングルへ
工事項目 | 金額・費用 | 単価 | 単位 | 数量 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
税抜き工事計 | ¥ 586,000 | - | - | - | 概算の為千円未満四捨五入 |
内訳: | - | - | - | - | |
ルーフィング施工費用 | ¥ 46,200 | ¥600 | ㎡ | 77 | ゴムアス普及品仕様 |
シングル施工費用(材料込) | ¥ 462,000 | ¥6,000 | ㎡ | 77 | 旭硝子、リッジウェイ仕様 |
その他部品施工費用 | ¥50,000 | 一式 | - | - | 本体以外の部品 |
足場の費用 | - | - | - | - | 平屋の為不要 |
屋根工事の小計 | ¥ 558,200 | - | - | - | |
諸経費(工事費の5%) | ¥ 27,910 | - | - | - |
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各屋根材へ葺き替え:解説
モデルの家は平屋で勾配が2.5寸と横葺きの材料を施工するのはぎりぎりの勾配です。でもメーカー各社の仕様では、2.5寸以上で施工できるとありますので施工できます。材料の違いによってルーフィングをかえています。僅かな費用の違いですが、高耐久性のガルバリウム鋼板(スーパーガルバリウム鋼板)は耐用年数が30年以上あると考えられるので、ルーフィングも30年の耐用年数のあるNewライナールーフィングを選んで概算を出しました。
ジンカリウム鋼板も耐用年数が50年なのでNewライナールーフィングです。30年以上の耐用年数があるルーフィングは、世界で唯一マスタールーフィングがありますが、施工費用は¥5,000~¥6,000と屋根材とほぼ同額の費用がかりますので、現実ではないです。
ルーフィングの各社のサイト、カタログを見ても営業に聞いても正確な耐用年数を回答できないので、業界で言われている20年で、耐用年数が少し短いと思われます。
トタンは材料名、屋根形式は瓦棒
一般にトタン屋根と言われている瓦棒形式の屋根、トタンは正確には材料の名前で、溶融亜鉛メッキ鋼板のことです。今はこのトタン(溶融亜鉛メッキ鋼板)は殆ど使われず、同じ価格かそれより安い価格でガルバリウム鋼板の瓦棒に葺き替えができます。瓦棒形式では、カバー工法でも簡易カバー工法、通常のカバー工法の2種類と撤去工法と合わせて主要3種類の葺き替え方法があります。前出のように、勾配が2.5寸未満の場合は、横葺きの材料は雨仕舞の観点から施工が不可なので、必然的に瓦棒か縦ハゼしか選ぶ屋根材がありません。その葺き替えの方法は;
- 簡易カバー工法(最も低コストな葺き替え工法)
- カバー工法(必然的に通気工法になる方法)
- 瓦棒を撤去する方法(トタン材料を撤去し、瓦棒再生工事)
瓦棒の葺き替えに関しては別ページにその葺き替え価格、工法を案内しています。
トタン、瓦棒の図説、各部分の名称:
トタン屋根(瓦棒)形式の屋根は安っぽいというイメージがありますが、雨仕舞に関してはかなり優秀です。まず材料のつなぎ目が雨の流れ中にはない、一段高くなっている部分(棒部分:30mmほど高くなっている部分)に隠してありますので横なぐりの雨でも侵入できない構造になっています。縦葺きという、横葺き等他にはない構造です。図を参照。
ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングルなど横葺きの材料は、材料と材料とのつなぎ目が雨が流れていく途中にあります(もちろん雨が侵入し難いつなぎ目になっていますが)
緩勾配でも雨仕舞が良く、縦方向には何も雨の流れを遮るものがなく、また緩勾配の為雨の流れがスムーズで雨樋から雨があふれることもまれです。良く考えられた構造です。
※雨仕舞:雨の流れがスムーズで水が滞らないこと、雨漏りの原因となる雨の滞留がないことです。
通称ですが、瓦棒の出っ張った部分を”かっぱ”と言い、瓦棒の本体である雨が流れる部分を”ドブ”と言います。あまり品の良い名前ではありませんが、間違いのない呼び方になっています。このサイトでもこの呼び方でいきたいと思います。
瓦棒とはかっぱの中に芯材があるものを言いますが、図の右のように芯材のないものもあります。提携の屋根屋さんの間では、芯材のない方式を”さんこう式”と言っています。さんこう式のほうが木部分がないので腐る要素がないですが、手間は少しかかり価格も高いです。
(やねやさんによってですが・・・)
トタン(瓦棒):金属部分が錆びなければ雨漏りはありません
原理的には金属の材料(ガルバリウム鋼板、トタン、ジンカリウム鋼板)は錆びで劣化します。特に瓦棒形式の屋根は雨仕舞が良いので(雨が中に入り難い)塗装が剥げたら再塗装、少し錆がでたら再塗装を繰り返し、錆を徹底的に撃退すれば半永久的に使い続けられる形式です。
ベツレヘムスチール社のガルバリウム鋼板の耐用年数の試験ではこの瓦棒形式の屋根でガルバリウム鋼板をテストし、全米33箇所で25年間、再塗装すること無く25年で一箇所も雨漏りが無かったとレポートしています。25年間再塗装せず持ったのであれば再塗装するともっと寿命が長くあると言う意味で丁寧なメンテをすれば長く使える材料だということです。
すでにトタンとガルバの価格は差がありません
提携の業者が言うには既に瓦棒の工事用平板はトタンは品薄、色の選択も少なくなったし仕入れ値も同じ、今更トタンを使う商売上のメリットは無くなったと言います。お客様価格ではどうでしょうか?インターネット上には各社建材店の商品がありますが、いくつか例を見たいと思います。


左がカラートタンつまりトタン、亜鉛メッキのカラー塗装の波板で一枚の寸法は3尺X6尺、910mm X 1820mm、板厚:0.25mmの塗料は何を使っているか書いていませんが、フッ素塗装ではないと思います。¥1,450/一枚。右は、ガルバリウム鋼板の塗装波板で、長さ;910mm X 1820mm、厚さ:0.25mmの波板製品、一枚の価格¥1,300-これはご奉仕価格とあります。トタンより安いのですから奉仕価格なのかもしれませんが、すでにトタンとガルバリウム鋼板の価格は同じかときによっては、ガルバリウム鋼板のほうが安い場合もあるのです。
”嘘の営業話”を聞いてはだめです
うちはメーカーと提携しているので、ガルバリウム鋼板が安く手に入ります。トタンより3倍も長持ちして、しかもトタンより安くしておきますよ。是非うちに決めてください・・・2018年で、もうこんな営業をする屋根屋はいないですが、つい 3,4年前はこの手が有効でした。既にガルバリウム鋼板の価格はトタンと同じになっていたにもかかわらず、さもうちは特別なルートでガルバリウム鋼板を安く提供できるという営業トークです。
2016年2017年には、これと同じようなトークがあって、スーパーガルバリウム鋼板の発売された年でしたが、あるサイトでは、新しいガルバリウム鋼板は少し価格が高くなるがうちは今までのガルバリウム鋼板と同じ価格で工事を提供しますと言っていました。しかし、メーカーのサイトには古いガルバリウム鋼板より新しいガルバリウム鋼板のほうが安く価格設定されていたのです。
新製品は高いというお客様の思い込みに乗じた嘘つき商法です。業者のサイトもいろいろ手を変え品を変えて、他の屋根屋と差別化に忙しいです。差別化は良いことですし、比較したときに何をアピールするかは、重要ですが、嘘を付いてのセールスはいただけないです。気を付けてください。
屋根材の市場動向はこのように重要で大まかな情報を知っていないと、簡単に騙されます。そのためにも相見積は重要。でも取った会社が全て同じ嘘をついていたら(ありえます)もうわからないです。
そのときは「お助け隊」まで相談してください。誰が嘘を言っているのか?市場の動きはそうではないので、A社の営業はおかしなことを言っていると解説できます。正々堂々と競争してほしいです。
このような言ってみれば細かい情報、新しい製品がでるとお客様にとっては良いことですが、屋根屋、業者にとってもいろいろ営業のプロモーションができて喜ばしいことではあります。
しかし、嘘の営業話しが良く出回るのもこのころです。なんとか契約を取ろうと必死なのが、他の会社のサイトを見ていて良くわかります。