屋根の相談・質問集

相談例/ガルバリウム鋼板は夏暑い!?

スレートからガルバリウム鋼板へ葺き替えたら夏はより暑くないか?

相談:

スレート屋根をガルバリウム鋼板で葺き替えたいのですが、ガルバリウム鋼板は軽くて耐用年数も長いので、気に入っているのですが薄い金属なので、多分夏は今までより暑くならないか心配しています。どうでしょうか?
問い合わせありがとうございます。
代表
ガルバリウム鋼板、今はSGLが主流ですが、鋼板の厚さは同じ0.35mmで断熱性的には同じです。これとスレートとの断熱性能を比較することになります。
代表
スレートはそれでも10mm程度、金属ではないので、ガルバリウム鋼板屋根の方が熱が伝わり易いと思うのです。夏がすごく暑くなるイメージがあります。
一般に思われているイメージはそうですね。では実際にどれほど違うのか?実験で測定してみました。結果は、サイトのページで、「断熱性能:スレートvs横暖ルーフで、チェックしてください。
代表

(又は、下のグラフになります)

断熱性能 slate vs Yokodann

 

え!イメージと違うのですが、本当のデータですか?
実際の測定データです。私もイメージと違うので驚いています。説明しますと、断熱性能の同じ実験BOXを2つ作って、スレート:KMEW製コロニアル・グラッサとニチハ製:横暖ルーフαS:断熱材あり、を日中半日電子温度計で測定したものです。
代表
断熱材が効いているということですか?
それもありますが、多分ガルバリウム鋼板の方がもっと温度が高くなると思いました。
代表
私もガルバの方が高くなると思っていました。でも違うのですね?
はい、でもこれはある条件下、実験BOX内の結果なので、お客様の屋根で同じ結果を得られるとは限らないことは承知してください。
代表
ただ、この結果から分かるのは、確かにガルバの断熱材付きは、スレートよりデータ的には内部の温度が低くなりました。でも、気温がこの日は、35度程度平均的に高くて、最高気温は、15:00に37度あります。このとき、スレート屋根の内部は、46度近く、横暖ルーフ屋根は42度程度、この4度の差は人間にわかるでしょうか?同じように暑いのではないでしょうか?
代表
わかんないでしょうね!今の2階の部屋も猛烈に暑いですが、ガルバにしても同じように暑いということですね?
そうです。しかし、イメージのように、スレートからガルバに変えても、すいません、断熱材付きの材料であれば、そんなに悪化はしないということだと思います。
代表
今までの常識、イメージは正しくなかったということを示していると考えます。
代表
なるほど、わかりました。スレート屋根よりそんなに暑さが悪化することはないということがわかりました。ありがとうございます。ではどんな屋根材を使えば夏の暑さに対処できますか?
どの程度の断熱性能を求めるのか?によりますが、完全で効果的な断熱を求めるのなら、屋根材だけでは難しいと思います。
代表
屋根屋が良くやる手段として、完全ではないですが、少しでも「まし」で、コストもあまりかからない断熱方法として「通気工法」があります。
代表
どんな方法ですが、参考に聞きたいです。
屋根材と下地材、ここではルーフィングですが、この間に数センチですが、空気層を設けるやり方です。温度特性の実験もやってみました。・・・通気工法/低コスト断熱工法
代表

温度特性データ:

通気工法の断熱性能グラフ

 

気温と同じか、午前中は少し温度が低い程度ですね!でもガルテクト、これって横暖ルーフと同じ断熱材入ですか?
その通りです。気温と同じ程度までしか断熱できませんでした。ここらが限界と思いますが、それでも横暖ルーフと同じ断熱材入のガルバよりは、「まし」かなと思います。
代表
通気工法にどんな材料を使うか、工法はその通気工法のページに提示してありますので、参考にしてください。
代表

 

コメント:

何故、屋根だけの断熱材だけでは、納得のいく断熱ができないと思ったのか?実験の準備をしている頃から感じていました。2つの実験BOX自作したのですが、まず実験で使えるようにするには、2つのBOXの断熱特性を同じにしなければなりません。

そして、その断熱性能を最大にできれば完全な断熱性能を発揮するように作り込みをしました。私はCalibrationと言っていますが、これは難しいと思いました。

断熱材には、スタイロフォームを使ったのですが、1枚では全然だめ、2枚でも満足できず、断熱性能が全く不足していました。3枚、一枚が 50mmなので、3枚の重ねで 150mmです。これでなんとかいける断熱性能が得られましたが、今度は2つの断熱特性を同じにしないと実験の再現性が確保できないので、このCalibrationに時間がかかりました。

2つのBOXの最終的な断熱特性です。

2つの実験BOX校正グラフ

2つのBOX、Reff BOX、Target BOXの温度特性は、午前7時のときの温度から、午後5時の温度は、それぞれ、2.5度、2.3度の上昇となりました。本来なら、7時の温度と17時までの温度に変化がないことが断熱が完全であると言えるのですが、なかなかそうはなりませんでした。

どうしても、BOXのどこかの隙間や断熱材からの熱の侵入があるのです。スタイロフォーム自身からの熱の侵入があると思います。下の写真が各BOXになります。

 

断熱性能実験用BOXの写真

屋根部分のスタイロフォームを各屋根材にして、実験を行ったのですが、屋根材はどう頑張ってもスタイロフォーム3枚分の断熱性能を得ることはできません。通気工法もしかりです。

上のグラフのような断熱性能を得るためには、壁、床、屋根部全てに 150mmのスタイロフォームを施工して得たデータで、通常の家で、断熱材を全壁、床に充分な断熱材を施工し、屋根部は改造して150mm分の断熱材を更に施工しなければなりません。

壁、床に充分な断熱材がない場合では屋根部分だけの断熱材では、充分な断熱性能を得ることが困難であることは理解できます。

余談ですが、もし、屋根裏があってそこに充分なスペースがあったら、お金はかかりますが、別の天井断熱という方法もあります。これについては、お助け隊まで相談してください。

 

以上です。

 

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