コロニアルの屋根ですが、カバー工法で断熱性能が良くなりますか?
質問:
築25年の二階建て、コロニアルですが、屋根材も傷んできたので葺き替えを考えています。ガルバリウム鋼板のカバー工法は断熱性能はどうなんでしょうか?もし劇的な効果があれば考えたいと思います。お考えを聞かせてください。よろしくお願いします。二階の寝室が暑くて少しでもエアコンの稼働を少なくしたいので・・・
回答:
コロニアル、スレートのガルバリウム鋼板によるカバー工法ですが、これによって部屋の温度が劇的に低くなることはありません。
独自の実験セットですが、実験したもののデータがあります。
これは、アイジー工業のスーパーガルテクトとコロニアルの上に横暖ルーフαSをカバー工法した断熱性能のデータです。
注目して欲しいのは、気温のグラフと緑のグラフ、緑のグラフは、カバー工法のグラフです。この日は、最高気温が32度ちょっと、これに対してカバー工法のグラフは、最高内部温度が37度付近です。気温より5度高いです。
気温32度は結構暑いです。更に5度高くて37度、14時から16時の夕方まで37度近辺です。すごい暑いです。数字的にはガルバリウム鋼板だけのグラフよりは低い温度ですが、気温より高い温度では、断熱性能が満足にあるとは言えないと思います。
「断熱」は、読んで字のごとく、熱を断つことで、建物の内外で熱の出入りが無いことを言います。外気の熱を中に入れない、中の冷気を外に出さないことです。
結論は、コロニアル、スレート屋根のガルバリウム鋼板によるカバー工法では、断熱性能は充分向上するとは言えないです。少なくとも中の温度が劇的に低くなりことはないようです。
他の方法は?
屋根を大幅に改造するなら別の話ですが、成るべくコストを低く抑え、効果的な断熱方法、全く完璧ではありませんが、良くやる方法は、通気工法です。下地材と仕上材との間に断熱材を入れる方法で、この断熱材の代わりに空気層を設けるやり方があります。
下図のような構造になります。
既存の下地材の上に、桟木、新たな下地材(コンパネ)を施工し、40mm程度の空気層を設けます。軒先から新しい空気を取り入れて、温まった空気を棟換気によって入れ替えるシステムです。断熱材はあえて使わず、自然換気をすることにより、温度を下げようとする試みです。
横からの断面図:
通気工法の温度特性グラフは、下図になります。
比較は、スーパーガルテクト単体の施工と、通気工法の屋根、通気工法は、コロニアルの上に横暖ルーフαSを施工した屋根との比較になります。通気工法も劇的な温度効果とは言えないですが、この日のデータでは気温よりは低い温度になっています。
ひと夏のエアコン使用量を考えたときに、多少は電気代の節約にはなるかな?という感じです。すいません具体的な電気の使用量のデータまで手がまわらなかったです。いままでのコロニアルの屋根の場合よりは少しはましかな?程度の効果になると思います。
しかし、このデータも実験BOXを用いた実験で、壁、床には断熱材スタイロフォームを150mm施工しての実験データです。もし、お客様の家で、壁、床に同じ程度の断熱材を施してあれば同じ結果が期待できますが、断熱材が無い場合は、この限りではありません。
本当の断熱、私の家での温度測定です
私の家は15年程前に大掛かりなリフォームをしまして、壁、床、天井に断熱材を施工しました。家の断熱は窓が大きく関係していて、大きな窓ですと、30%以上ここから熱の出入りがあると言われています。ですので、窓のほとんどない納戸での温度測定をしたデータを参考に提示したいと思います。
真夏での測定です。1階の納戸には、小さな飾り窓があるだけで、北側は壁、南は内壁、東側は外壁がありますが、100mmの断熱材が入っています。西は隣が物入れです。入り口のドアを一日締めておけば熱の出入りは殆どありません。
赤いグラフが1階納戸の内部温度で、わずかに上昇していますが、24度程度でほぼ一定です。2階の洋室と比べてください。これくらいであれば、エアコンが無くてもドアの開閉が無ければなんとか過ごせる環境です。これが断熱性能の良い部屋となります。
断熱材の仕様:
外壁:100mm厚のセルロースナノファイバー、天井:200mmのセルロースナノファイバー仕様
以上です。