屋根工事の方法、工法

カバー工法/概論、メリットとデメリット

カバー工法とはタイトル

カバー工法/カバー工法概論、カバー工法とは?

主に既存の屋根材を撤去する費用を節約する為に、そのまま軽量な屋根材を被せる工法がカバー工法です。その他断熱、雨音を抑えることもできます。

通常、屋根を葺き替えるときは既存の仕上材(屋根材)を撤去&廃材の処理をし、下地材が傷んでいる場合は交換、修理をしてルーフィング、新しい仕上材の施工と工事は進みます。

しかし、既存の屋根材の撤去とその廃材の廃棄には、多大の労力と費用がかかります。例えばコロニアルの撤去費用は、¥1,500~¥1,800/㎡、廃材の処理には、¥1,500~¥2,000/㎡程度の費用が発生します。コロニアルがアスベストいるですと、少し割増(1割程度)になってしまいます。

70㎡の屋根ですと、撤去費用は、¥100,000~¥130,000、廃材の処理には、¥¥100,000~¥140,000もの費用が必要です。屋根全体の葺き替え費用が100程度ろすると、撤去と廃材で20万円~30万円で決して小さな金額ではありません。

このため、主に費用の面の理由で既存の仕上材を撤去せず、既存の仕上材の上にルーフィングと新しい仕上材を施工する方法を、「カバー工法」「重ね葺き工法」と言います。

カバー工法が可能な屋根

カバー工法ができる既存の屋根は;

  • コロニアル、カラーベスト、スレート屋根
  • トタン、瓦棒の屋根
  • アスファルトシングル、シングルの屋根

瓦、和瓦、洋瓦の屋根にはカバー工法は使えません。瓦を撤去しての普通の工法になります。一般木造住宅の屋根はおおよそこれらの屋根材を使っていることが殆どで、カバー工法に使える新しい屋根材は軽量な材料が選ばれます。次のような仕上材(屋根材)です。

カバー工法に使用する代表の材料

コロニアル、カラーベスト、スレート材は、カバー工法の新しい材料としては使用不可になっています。理由は既存の屋根材の上にコロニアルなどを施工すると、割れる危険が大きいのでメーカーが不可としていて、メーカーの保証が受けられません。コロニアル、スレート材は上に被せる材料としては不適です。

横葺きタイプの屋根

縦葺き、瓦棒の屋根と材料

 

カバー工法のメリット、利点

カバー工法のメリットを項目ごとに解説します。

  1. 既存の屋根材を撤去する費用、廃材を処理する費用が不要
  2. 撤去工法より工事期間が短くなる。
  3. 新たな仕上材を既存の材料に重ねることで、夏の暑さは、今より悪化しない
  4. 雨音は多少小さくなることが予想される。

A:のメリットのためカバー工法を選ばれるお客様が圧倒的に多いですが、どのくらいの費用が節約できるのか?例えば、コロニアルの屋根、70㎡でいうと、撤去費用が ¥1,500/㎡、廃材処理費用:¥1,800/㎡ですので、撤去と廃材で、約13万円程度が節約になります。

B:は撤去と廃材処理の工程が省かれるので、当然時間も節約になります。

C:は仕上材が加わるので、少なくともコロニアルだけよりほんの少しだけかもしれませんが、良くなることが期待できます。

>>> 参考:実測した屋根材の断熱性能、部屋の温度変化

D:雨音に関する実験も実施しました。カバー工法の雨音も実験にあります。

>>> 雨音の測定/各屋根材での測定と対策

カバー工法のデメリット、欠点

良いことばかりのカバー工法ですが、デメリットもあります。

  1. コロニアルの場合、表面についたカビ、苔、ホコリなどがそのまま残ります。特に女性のお客様は気分的に嫌がるかたもいらっしゃいます。この場合は洗浄をお薦めします。
  2. アスベスト入の場合、アスベストがそのまま残ります。処理の後回しになります。
  3. 屋根にお客様が登った場合、割れる場合があります。この際割れることで、ルーフィングを傷つけることがあると雨漏りの原因になることがあります。等

例えば、お客様から良くある疑問、質問で:

「カバーする屋根材の重量がそのまま増加になり、耐震に不利か?」あります。

この答えは、ガルバリウム鋼板のカバー工法は耐震に不利か?で答えます。他にも不利になりそうな項目をサイトから拾ってきましたので、検証したいと思います。特に質問、契約の多いガリバリウム鋼板についてのカバー工法デメリット、詳しくは ガリバリウム鋼板カバー工法デメリット考察を参照ください。他の屋根屋さん、屋根葺き替えサイトに載っていたデメリットでの考察です。解決策も提案しています。デメリットも考察して決めてください。考察するのに正しい情報を発信します。

カバー工法のデメリットタイトル

 

各種カバー工法/どの屋根材が可能か?(概論続き)

ガルバリウム鋼板、SGLの鋼板(横葺き)

勾配が2.5寸以上ある場合は、横葺きのガルバリウム鋼板、スーパーガルバリウム鋼板(SGL)の材料がカバー工法の仕上材として使用できます。「SGL」とは2016年に次世代のガルバリウム鋼板として日鉄住金が開発した新しい鋼板で、従来のガルバリウム鋼板と価格は同じで耐用年数の長い優れた製品になっています。ガルバリウム鋼板、SGL横葺き材料は両方ともカバー工法で使用可能です。

アスファルトシングル、シングル屋根、コロニアル、カラーベスト、スレート屋根の重ね葺きに使用でき、コストパフォマンスに優れた製品です。一般にガルバリウム鋼板で作られた屋根材は横葺きタイプのものが多く、トタン屋根には縦葺きタイプが使用されます。

横葺きのガルバのメーカーと製品は一般木造住宅用には次のようなものがあります。

  • アイジー工業ー:スーパーガルテクト(SGL使用)
  • 株式会社ニチハ:横暖ルーフαSシリーズ(SGL使用)
  • KMEW(ケミュー):スマートメタル(SGL使用)
  • メタル建材:リファーナ、エテルナ(SGL使用)
  • 福泉工業:MFシルキー、efルーフ(JFEのJ-フレックス)
  • セキノ興産:柾目FLeX(JFEガルフレックス)

上から4社の屋根材製品の基盤は日本製鉄(旧日鉄住金鋼板製)のSGL(スーパーガルバリウム鋼板)を屋根材に加工して販売しています。SGLの「S」はSuper、Superior、Secial、「GL」はガルバリウム鋼板の略です。次世代のガルバリウム鋼板とメーカーは言います。穴あき保証は25年。

福泉のMFシルキー、セキノ興産の柾目フレックスは、JFEの新ガルバリウム鋼板、JFEの新ガルバリウム鋼板を採用。穴あき保証はSGLと同様25年。

トタン、瓦棒/簡易カバー工法、カバー工法/ガルバリウム鋼板縦葺き

瓦棒形式のトタン屋根のカバー工法は2種類あります。お財布に優しい「簡易カバー工法」と瓦棒の普通のカバー工法です。

簡易カバー工法は、トタン屋根に沿って加工したガルバリウム鋼板の平板材料をそのまま施工するやり方で、トタンとガルバリウム鋼板の間に異機種金属の腐食を防ぐ為、ルーフィングか、保護シートをはります。その上に現場で加工したガルバリウム鋼板の施工、役物施工です。

簡易カバー工法:

簡易カバー工法保護シート

簡易カバー工法 完成写真

瓦棒のカバー工法:

瓦棒、普通のカバー工法、この場合は屋根の勾配が1寸と緩いので、同じ瓦棒形式の施工、ガルバリウム鋼板にて。ガルバリウム鋼板はコイルに巻いて納品され、現場で加工して工事をします。

普通のカバー工法

瓦棒、カバー工法02

普通の瓦棒カバー工法は、瓦棒の上に瓦棒を施工しますので、必然的に空気層ができ通気工法になります。工事の順番は、既存トタン屋根に新しい下地材(コンパネ)を施工します。この案件は断熱性能を気にしていましたので、下地材の中に遮熱シートを張っています。

勾配が2.5寸以上あれば横葺きのガルバリウム鋼板、石粒付鋼板、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングルでも施工が可能です。この場合は勾配が1寸と緩いので同じ瓦棒をガルバリウム鋼板で施工です。下写真。(ルーフィング+ガルバリウム瓦棒)

石粒付鋼板でカバー工法:横葺き

最近、ガルバリウム鋼板の次にコロニアルのカバー工法で使われている、石粒付鋼板、ジンカリウム鋼板です。石粒付鋼板は次の利点があります。

  • ガルバリウム鋼板より長い保証:30年保証
  • ガルバリウム鋼板より長い耐用年数:50年
  • 表面に石粒がコーティングしてあるので雨音がしない
  • 価格も新しいガルバリウム鋼板:¥6,500/㎡、石粒付鋼板:¥7,000/㎡とさほど変わらない。

などの利点から、最近受注が増えています。石粒付鋼板でカバーできる屋根は、コロニアル、スレート屋根、トタン屋根、アスファルトシングル屋根、トタン・瓦棒(勾配2.5寸以上の場合)です。

石粒付鋼板、ジンカリウム鋼板の例:

石粒付鋼板カバー工法施工例

石粒付鋼板カバー工法

アスファルトシングル、シングル材料

シングル、正式名称はアスファルトシングルです。この材料のカバー工法は、スレート屋根と同じく、ルーフィング+新しいアスファルトシングル屋根材の施工+役物施工になります。

アスファルトシングルがカバー工法で使える既存の屋根は;

コロニアル、カラーベスト、スレート屋根、アスファルトシングル、瓦棒(勾配が2.5寸以上)

アスファルトシングル屋根

 

カバー工法についてのまとめ

カバー工法が可能な既存屋根は限定があり、カバーする方の材料にもできるものとできないものとがあります。カバー工法のデメリットよりメリットの方が多く、費用の違いは大きいです。致命的なデメリットなく、一部のサイト、業者はカバー工法を耐震に弱いとして撤去を薦めますが、その根拠、具体的なデータを言おうとしないことが多いです。多分具体的な計算ができないか、その方法、耐震診断の方法を知らないのだと思います。(耐震は元々屋根屋さんのしごとではないと思いますが・・・)

以上です。

ガルバリウム鋼板でのカバー工法のデメリットについては、いろいろ考察をしています。ガルバのカバー工法デメリット・カテゴリにしました。是非こちらもご覧ください。

 

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