スレート屋根の塗装/再塗装できる状態、できない状態とは?
スレート屋根の再塗装について、考えれらえる目的、期待する効果は;
- 見栄え、美観の復活
- 屋根材を保護し、そのスレート材の寿命を延長させる
の2つの期待したい効果があります。屋根は時に家の大きな部分を占め、家そのものを形作るもので、古くなった塗装を見直し再塗装をして美観、景観を復活させることは大変重要なことです。スレート屋根も同じです。
また再塗装をすることによって屋根材そのものを保護し、本来持っている寿命、耐用年数を全うすることにも役立ちます。もしかしたら屋根材によっては寿命を延長することにも成功するかもしれません。
しかし、一時的に美しくなってもその美しさは長続きせず材料の劣化が進んで短い期間だけの美観ということもあります。スレート屋根について考察してみたいと思います。
スレート、コロニアル、カラーベストの再塗装は意味があるか??
スレート、コロニアル、カラーベストは全て同じ材質でアスベスト(石綿)をセメントで高圧で圧縮した材料で少し重たい材質です。このスレートの劣化は表面の劣化だけではありまあせん。厚さ約 6mm程度の材料ですが、劣化する要因は次のものが考えられます。
- 温度差による劣化、夏は表面温度は80度近くになります。夜は気温の 25度程度になります。この繰り返しが夏は毎日あります。膨張、収縮をほんの僅かではありますがこれによる劣化が考えられます。
- 雨が降ると材料は水分の吸収をします。雨が止むと水を放出、乾燥します。膨張、収縮を繰り返して劣化していきます。これらもほんの少し何ミクロンの単位です。
- 冬は材料中の水分が凍結することがあります。凍結、融解によっても膨張、収縮をします
- 表面の塗装は太陽の紫外線によって劣化します。
- スレートは厚みがある材料なので、表だけの劣化ではなく、裏面は無防備、側面にも塗装はありますが、塗装が劣化すれば水は侵入します。つまりスレートは表、裏、側面の全ての場所から劣化していくのです。表面だけの問題ではありません。
上記の劣化要因を表面の再塗装だけで防げぐことができるでしょうか?
例えば下の例、
築27年のコロニアルの屋根。上の写真と下の写真は同じ家のスレート屋根です。上は全体写真、下はひどく傷んだ部分写真で、苔、カビが多く、材料そのものの表面がちょっと深く剥がれています。左はその一部が欠けています。欠けは何かが飛散してぶつかって欠けたことも否定できませんが、基本的には割れたところが経年変化で弱くなって欠けたようです。
家の立地にも影響されますが、20年前後でこの程度の劣化になる屋根もあります。塗装でヒビ、割れ欠けは修復できません。またそこはあきらめるとして、カビ、苔を洗浄して汚れをヤスリなどで削って表面を滑らかにすると、なんとか塗装は可能です。でもそこまでしてその塗装が10年以上持つと思いますか?上記の劣化要因を考えてください。
もう既にかなり内部劣化しているスレート材の表面だけ塗って(裏面は塗装できません)耐用年数は伸びません。
別の例:
違うスレート屋根の劣化の様子、築36年のスレート、既に雨漏りがあり、スレートを撤去してガルバリウム鋼板への葺き替えを受注した屋根です。雨漏りはスレート材の劣化が原因ではありませんでしたが、材料の劣化は激しいです。塗装はとっくになくなり、表面の層が剥げてしまっています。
赤い四角で囲ったところは割れて脱落しています。これが3箇所ありました。しかし調査したらここが雨漏りの箇所ではありませんでした。しかし、この状態で再塗装をしても、まずそのままでは塗料が接着しない、表面をヤスリで削ってなめらかにすると塗装は可能になりますが、塗装自体が長持ちせず、割れは他の箇所で頻繁に発生し、塗装しても剥がれ、割れ、ヒビ、脱落は防げません。
つまりこの屋根は塗装しても塗装は長く持ちませんし、直ぐに他の箇所でヒビ、割れ、脱落、剥がれが発生して折角再塗装しても無駄になりかねない屋根と言えます。
再塗装してもOKな状態、築年数とは?
スレート③は、別の屋根で築24年の状態のまあ良い物件でした。写真4枚ありますが、端の欠けはありますが、総じて剥がれ、ヒビ、大きな割れはありません。スレートもメーカー、製品によって、または家の立地によってかなり経年変化の様子が変わってきます。
この屋根なら再塗装は可能と思います。しかし、スレートの寿命は20年から30年、20年が一つの区切りと考えられます。築20年後に再塗装して、あと10年以上寿命があるか?だれも保証しません。塗装屋は再塗装をすれば塗装してから10年以上持つと言いますが、果たしてそれは塗装による寿命の延長でしょうか?
「屋根」の寿命、耐用年数と「スレート」の寿命、耐用年数とは違うものです
よくスレートを塗装を薦められているが、葺き替えが良いのか?塗装で安く済ませば良いのか?相談するお客様が多いです。この質問をする方は多分勘違いをされていると思います。
再塗装はスレートの表面の美観を復活させることで、「屋根」の耐用年数を伸ばすことはできません。何故か?屋根の寿命、耐用年数はルーフィングの耐用年数だからです。もっと言うと屋根の基本機能は雨・風から家を守る、雨漏りから守ることですが、これを実現しているのは実はスレート材ではなく、ルーフィング(防水材)なのです。
ですからスレート材料が塗装することで寿命を伸ばすことが出来てもルーフィングを交換しなければ屋根の寿命は伸びません。「屋根」と仕上げ材(この場合スレート材料)の違いを良く理解して欲しいです。
スレートの再塗装についてまとめると;
- 20年以上経ったスレート屋根の再塗装をしても費用の無駄になる
- スレートを塗装をしても屋根の寿命はルーフィングの寿命なので、僅かの期間、美観の回復はできるが、屋根の寿命を伸ばすことにはならない。
- >>> スレート塗装のやる時期
以上です。