ガルバリウム鋼板のカバー工法は断熱性能に効果があるのか?
ガルバリウム鋼板 vs ガルバリウム鋼板カバー工法比較
では、非常に契約数の多いスレート屋根のガルバリウム鋼板による重ね葺き(カバー工法)はどうかという懸念も沢山質問されます。結果はガルバリウム鋼板(断熱材付)と比べても温度は低くなり断熱効果があると言えそうです。
「スレート屋根のガルバリウム鋼板によるカバー工法であれば断熱性能は良くなります」下グラフ参照。但し、夕方はグラフの右を見てもらうとわかりますが、 16:00以降は、断熱効果によりガルバリウム鋼板より熱の放散が進まず、熱が籠もり、ガルバリウム鋼板より温度が高くなります。断熱効果がある証拠なのですが、真夏の暑い日は日中はカバー工法は部屋の温度は低いのですが夕方は逆転します。
ガルバリウム鋼板に付いている断熱材は効果があるのか?
結論から言うと効果ありです。しかし・・・
スーパーガルバリウム鋼板について言うと現在(2018年4月)4社がSGLを採用して屋根材を販売しています。この内、10mm程の断熱材が標準で付いているは、スーパーガルテクトと横暖ルーフαS、メタル建材のリファーナ、この断熱材の効果を測定しました。
実験に使用したのは、断熱材なしのガルバリウム鋼板:千代田鉄鋼のカラー鋼板、断熱材ありはアイジー工業のスーパーガルテクトです。青:外気温、黒:スーパーガルテクト、緑:千代田鉄鋼のGL、下記グラフです。しかし、問題は程度の問題。断熱効果「あり」は間違いありませんが外気温より、7度以上高い室内で満足できるレベルかどうかが問題です。
違うメーカーでも断熱性能は同じか?
SGL、新しいガルバリウム鋼板で良く注文を頂く、ニチハの横暖ルーフαSとアイジー工業のスーパーガルテクト、どちらも標準で10mm程度の断熱材が付いています。これら2つの断熱性能の測定比較を実際の屋根材を試験BOXに施工して、温度の測定をしてみました。
上のグラフ;横暖ルーフαSとスーパーガルテクトの朝から夕方までの実験で大きな温度の違いはありませんでした。断熱性能についてはほぼ同等と考えられます。
しかし、気温(外気温)と比較してほしいのですが、気温が最高32度程度の日に測定し、気温が32度で、室内の温度は両方とも14時点で最高38度になります。
これで気持ち良く快適に過ごせますか?ということです。断熱性能は確かにあります。実験結果はそう言っていますが、その断熱の程度は?というと、十分とは言えない。エアコンは必須と思います。そしてエアコンの消費電力はアイジー工業のものとニチハの断熱材付ガルバリウム鋼板とは同じ電力消費であろうと想像できます。(他の条件が同じならばという前提で)
・・・ガルバリウム鋼板(SGLでも)カバー工法での断熱材効果はほんの少しあるが快適な温度になるとは言えない。また横暖ルーフαSとスーパーガルテクトとの断熱性能はほぼ同じであまり「効果は期待できない」がここの結論です。
参考:
試験に使った断熱性能試験BOX:
実験に使った実験BOXです。2台つくり、外壁、床は100mmのスタイロフォームで断熱して屋根部分だけ簡単に交換できる構造です。2のBOXの屋根以外の断熱性能は同じです。屋根をいろいろ交換して、屋根材の違いを明確にする為に2台の断熱性能は同じにしなければなりません。下のグラフ。
ガルバリウム鋼板のカバー工法/断熱性能試験まとめ
スレート屋根のガルバリウム鋼板カバー工法による断熱性能は十分ではありませんが効果はありました。また横暖ルーフαSとスーパーガルテクトではその断熱性能、一日の室内温度グラフは同じ、断熱性能も同じと考えてよさそうです。
以上です。