スレート材の金属材料によるカバー工法では、スレート材が間に入っていますので夏の暑さについては今までより悪化することはまず無いです。つかり今までのスレート材のみのときより少しはましで、原理的に 部屋の温度が高くなるこてとはないです。しかし、スレート材を撤去する場合は金属材料(ガルバリウム鋼板など)しかないので断熱・断熱材が必要になるケースもあるかと思います。それに関して更に詳しく解説いたします。屋根の断熱についての質問も非常に多いです。
トタン(瓦棒)の葺き替え:コストパーフォーマンスの良い断熱の方法は何か?
断熱の全くされていないトタン屋根はやはり夏暑いです。トタン(瓦棒)から効率の良い価格も手頃な葺き替え法があります。価格と工法をお知らせします。
質問:
築28年のトタンの屋根、瓦棒です。塗装はかなり無くなっている、いたる所で錆びも目立つ、葺き替えのころと思っている。また夏の暑さが気になるので少しはマシで、価格の安い材料なり工法はないか?探しているが、最近ではトタン屋根はめっきり少なくなっていて、インターネットでも各社やる気がない。御社のサイトはトタンもいろいろ書き込みがあって信用できそうなので相談した。勾配2寸と言われた。平屋、仕事場の屋根も含めて面積約120平米、切妻です。工法、材料、概算が知りたい。
回答:
通気工法はいかがでしょうか?
勾配2寸では横葺きの断熱材付ガルバリウム鋼板は、ある程度勾配がないと雨がスムーズに下りてこないので劣化を早め、屋根材の寿命を短くするのでメーカー、施工会社とも工事を断ります。2寸で施工できる屋根材は、瓦棒形式の縦葺きか縦ハゼに限定されます。夏の暑さを少しだけましにできる工法がガルバリウム鋼板の瓦棒;断熱通気工法がお薦めです。
今は亜鉛鋼板であるトタンはガルバリウム鋼板に取って替わっています。メーカーがトタンの生産を止めるか、縮小です。ガルバリウム鋼板のほうが安い場合もあります。瓦棒は材料が既にガルバリウム鋼板に替わっています。
トタン(瓦棒形式)の通気工法をご紹介します。施工方法は今の瓦棒に断熱シートを張り、下地材を施工します。下地材を二重にして瓦棒の棒部分(30mmの高さ)で空気層を作ります。空気は実はかなり上等な断熱材となりお金がかかりません。また断熱材を施工せず、ゆっくり空気を軒先から入れて棟に抜く構造にすると、暖められた空気が自然循環しますので屋根の温度が高くならないという仕組みです。安く手軽に断熱+自然換気で屋根の上は暑いですが中を風通しを良くして温度を下げよとする工法です。大変優れた工法でかなり昔からあったようです。様子を下の図に示しました。参照してください。
通気工法の図解:
軒先から新しい空気を吸入し、棟部分に棟換気を取り付けて温かい空気を逃します。
通気工法の断熱性能:
緑のグラフ、断熱材付ガルバリウム鋼板:黒のグラフ、外気温:青のグラフ
ガルバリウム鋼板はアイジー工業のガルテクトという製品(横暖ルーフも同等品)。ガルバリウム鋼板に断熱材がついたもののBOX内の温度はこの日は14:00付近で最高室温: 40度を記録、この日の気温の最高は、32.4度。それに対して、通気工法を施した室内の最高温度は、15:00の32度と外気温より僅かながら低い温度になりました。ガルバリウム鋼板との温度差は、この日最高 8.0度でした。
断熱性能、雨音特性などの測定に使われるBOX:1.0m X 1.0m 高さ1.3m。
元に戻って、このトタン、瓦棒の通気工法の施工費用ですが、勾配が2寸なので通気工法の上は瓦棒か縦ハゼにならざる負えないです。今回は良くやる瓦棒をガルバリウム鋼板の平板で施工する費用でいきます。既存のトタン屋根の下地がしっかりしていることを確認して、9mmの下地材を施工、ルーフィング、再び瓦棒(の棒)、ドブ、カッパを施工、棟板金の施工で完了です。概算になります。
概算の為に使った屋根の例:
屋根面積:120㎡、勾配2寸、平屋、トタン屋根をガルバリウム鋼板の瓦棒、屋根の形式はそのままにカバー工法で葺き替え概算。今はトタンではなくガルバリウム鋼板を使います。価格は殆ど同じ。
葺き替え項目 | 金額 | 単価 | 数量 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
税込み合計金額 | ¥ 1,114,000 | - | - | - | 概算の為千円未満四捨五入 |
内訳: | |||||
カッパ撤去費用 | ¥30,000 | - | 一式 | - | トタンの出っ張り部分 |
コンパネ施工費用 | ¥240,000 | ¥2,000 | 120 | ㎡ | 二枚目の下地材(下地材) |
ルーフィング施工費 | ¥72,000 | ¥ 600 | 120 | ㎡ | ゴムアス、普及品で |
瓦棒施工 | ¥ 120,000 | ¥1,000 | 120 | ㎡ | 出っ張り分(35mm X 35mmの角材) |
ガルバ瓦棒施工 | ¥ 540,000 | ¥4,500 | 120 | ㎡ | 瓦棒本体部分+軒先部分の部品は含む、鋼板(瓦棒用平板) |
その他の部品費用 | ¥ 30,000 | 一式 | - | - | 主に棟板金 |
税抜き工事合計 | ¥ 1,032,000 | - | - | - | |
消費税 8% | ¥82,560 | - | - | - |
===============
@
スレートからガルバリウム鋼板に代えて夏の暑さは大丈夫なのか?
特に二階に寝ているので心配です。
質問:
スレートの屋根を地震に有利なガルバリウム鋼板で屋根の葺き替えをしたいが、スレートからガルバリウム鋼板に代えて(つまりスレート材を撤去して)夏の暑さは大丈夫なのか?特に二階の暑さが心配です。暑くて寝られないということはありませんか?築30年壁には一応断熱材が入っているはず?です。多分グラスウール??
回答:
良くある相談です。まず印象からの誤解を改めることからです。材料の見た目の印象ですが、スレート材、コロニアル材、カラーベスト材どれも同じ鉱物繊維をセメントで固めた屋根材で厚さ約3mm程度の薄い板です。これと金属を比較すると、明らかに金属は10mmの断熱材があっても断熱性能が劣ると思われがちです。では実験してみましょう。
KMEW社のコロニアルクワッド(スレート材)と断熱材付ガルバリウム鋼板はアイジー工業のスーパーガルテクト(12mmの断熱材入)を断熱試験BOXの上に下地材+ルーフィングの上に施工し、本当の屋根施工と同じ条件でテスト。温度は周りを100mmの断熱材で囲った中の温度変化を夏の8月の昼間に試験しました。下がそのグラフになります。
スレートとはコロニアルクワッド:緑のグラフ、スーパーガルテクトは12mmの断熱材入のガルバリウム鋼板です。青のグラフが気温になります。データはガルバリウム鋼板よりスレート材のBOX内の温度の方が最高で5度高い結果です。よって断熱材付のガルバリウム鋼板のほうが断熱性能は良いと言えそうですが、気温より8度も高いです。これで部屋の中にいてスレート材とガルバリウム鋼板との違いがわかるでしょうか?難しいところです。エアコンも当然使うと思いますが、その電気料金が季節を通して多少違うくらいのことと思います。でも正確にスレート材より断熱性は少しですが良いです。
■提案ですが、スレート材を撤去しないカバー工法を見てみます。
断熱性能 カバー工法:
断熱材付のガルバリウム鋼板単体とスレート材の上に同じ断熱材付のガルバリウム鋼板を比較したグラフですが、明らかにカバー工法のほうが断熱性能が良いです。しかしこの違いを確実に体感するのはちょっと難しい。温度の変化は同じ盛夏でも日によって温度の上昇カーブが違いますし、湿度も体感に関係します。ましてや気温より格段に温度が低くなるわけではないので、また屋根材はエアコンではないので、涼しいというレベルにはならないのが限界と思います。
まとめ:
データからも分かりますが、スレート材よりもガルテクト(断熱材付ガルバリウム鋼板)のほうが断熱性能は良くて、そのガルテクトよりカバー工法(スレート材の上にガルバリウム鋼板のカバー工法)が更に断熱性能が良いです。つまりスレート材の上にガルバリウム鋼板を施工するカバー工法はスレート材のみのときより断熱性能は良いという結論です。
ガルバリウム鋼板によるカバー工法であれば、スレート材のときより断熱性能は向上します。少なくとも悪化はしないです。スレート材はそんなに断熱性能が良材料ではないということが分かると思います。
しかし、見逃してはならないのは、夕方の部屋の温度変化です。断熱性能が良いということは、熱が冷めるのも遅いといいことです。グラフの16:00以降のグラフをみると、温度の下がり方が緩やかで、ガルバリウム鋼板だけのときのほうが早く、温度が下がっています。当たり前ですが、断熱性能の良いほうは温度の上昇が遅いかわりに夕方から夜には温度の下がるのも遅いのです。
ですから、夕方以降は少し暑いと感じることがあるあかもしれないです。冬は良いことなのかもしれません。
以上です。