工事例/施工例

瓦の屋根葺き替え、屋根葺き直し工事/葺き直しとは?

瓦の葺き替え、葺き直し工法タイトル画像

瓦の屋根葺き直し工事/既存の材料を再利用する珍しい工法

瓦の「葺き直し」工事とはどのような工事方法なのか?

瓦だけにある、他の屋根工事にはないある種特殊な工法です。既存の瓦を捨てないで再利用するエコな工法です。下の工事前、工事後の写真を見てください。あまり良く分からないかもしれないので解説します。

瓦の葺き直し工事前後画像

写真の取り方、光のかげんで工事前の方が綺麗に見えていますが。左の写真は工事前のものです。一部破損した瓦は交換していますが、殆どは同じ瓦で葺き替えています。既存の瓦を再利用しています。この工法を「瓦の葺き直し工事」と言います。

この工事は同じ屋根材を再利用する工事なのですが、工事前と工事後の写真を見ると、不要な飾り棟が無くなっています。また大棟の高さが低くなっているのは、熨斗瓦、冠瓦を取って冠瓦1段にしたことがわかります。費用のカットと屋根の重量の軽減に役立っています。このように昔の無駄?な部分を省いて簡便にする目的もあるのです。コストと軽量化に貢献します。

飾り棟・葺き直し

白矢印の部分は、飾り棟と言われる部分で、雨風から家を守る機能からすると全く不要の長物です。しかし、屋根は家そのもので家のデザインには大きく貢献します。飾り棟や何段も高くする大棟などはその家柄の威厳を表す象徴です。その意味で必要なものなのですが、それ以外の機能としてはただただ重いものでしかありません。なければ屋根に不都合なことは発生しません。良く飾り棟を撤去すると雨漏りは大丈夫ですか?と聞かれますが、全く問題ありません。なので、この例では飾り棟は全て撤去し、屋根を軽くしました。

そして本題、何故古い瓦を再利用する工法があるのか?瓦は他の屋根材と違い破壊せず再利用できるように丁寧に剝がすことができ、瓦の耐用年数が他の材料より遥かに長く60年以上あることによります。屋根の耐用年数は防水材の耐用年数に大きく依存しますので、築後20年程度で防水材・ルーフィングの耐用年数が来ます。それで、30年程度で一部瓦が割れたり、欠けたりして雨漏りが発生した場合に葺き替えを考えます。その時に既存の瓦はまだ十分に使用できる場合は材料費を節約する為に瓦の再利用をします。これが「瓦の葺き直」です。

瓦の葺き替え工事/瓦の廃材処理は産業廃棄物

瓦屋根の葺き替えは、既存の瓦を再利用しない場合は廃材処理をします。家庭の燃えないゴミ、粗大ごみとして市のごみ収集で廃棄は出来ないので、産業廃棄物業者に持ち込んで廃棄します。この費用はばかにできません。通常の屋根葺き替え工程は下の写真のようになります。

瓦の葺き替えタイトル画像

 瓦の葺き替え、工事工程

この瓦葺き替えの主な原因となった雨漏り個所をまず特定します。下写真

雨漏り箇所特定瓦撤去

 

古い桟木とルーフィング(防水材)を剝がした後、新しいルーフィングと桟木を施工します。この場合は下地材はまだ十分に使用できたので、交換はしませんでした。このルーフィングはちょっと変わっていて、拡大すると;

ルーフィング施工、キズいり画像

このルーフィングは、1mm程度のワイヤーが屋根に対して縦方向に入れてあります。このワイヤーのおかげで隙間が空き桟木の下を雨水が流れるようになっています。(写真左)これで雨水の滞留を防ぎより水はけのよいシステムにしています。桟木付近での雨水の滞留は、木材を腐食させ、釘を錆びさせ雨漏りの原因になります。

瓦の耐震工法、ガイドライン工法/阪神大震災の教訓

知らないと驚くかも知れませんが、1995年の阪神淡路大震災以前までは瓦の工事は瓦を固定していませんでした。桟木を横に施工し、瓦一枚一枚にある爪の部分で桟木に引っ掛けて落ちるのを止める引っ掛け工法だったのです。瓦の製造メーカーも釘を打つ穴さえ空けていませんでした。

阪神淡路大震災では、多くの瓦屋根が落下し問題になりました。そこで考えられたのが瓦のガイドライン工法、耐震工法です。これを知らない方は「え!」今まで釘などで固定されていなかったの?おっしゃる通り、瓦はただ乗せただけだった。驚くべきことだと私は思います。

ガイドライン工法・・・今では標準工法になっているはず?です。

ガイドライン工法01

瓦のガイドライン工法は、写真のように瓦を一枚一枚釘で固定します。緊結とも言います。阪神淡路大震災の教訓からガイドライン工法なるものが考案されて標準の瓦工事となっています。

ガイドライン工法03

釘の固定のやり方もいろいろあって、全ての瓦を釘で固定する方法や、二枚ごとや重要な箇所は全て釘打ちなど工数との兼ね合いで釘の打ち方を変えて施工する方法もあります。詳しくは全瓦連のガイドライン工法のパンフレットをご覧ください。

瓦葺き替え施工中画像

瓦の施工途中で瓦を屋根に上げたところ、屋根の上に積んで施工です。

瓦葺き替え完成写真

瓦施工の完成です。

瓦工事、ガイドライン工法の怪

1995年以降にガイドライン工法は、瓦工事の歴史上はじめて公にできたのですが、私はそれまで瓦は曲がりなりにも釘やビスで固定されているものと信じていました。そして瓦葺きの屋根が開発されてから大きな地震は何百と発生していたにも係わらず全瓦連や国(国土交通省かな?)は何も対策を講じてこなかったのです。ガイドラインが出たのは20世紀に近い、1995年以降です。

それまで釘を使った工法が無かったわけではないですが、全瓦連や国が公に瓦の工法は地震に強い工法にするべきだと言っていませんでした。普通に釘やビスで固定する普通の工法にしなかった。瓦のメーカも含めてです。詳しい事情を知らないで生意気なことを言うな!と怒られるかもしれませんが、真実だと思っています。これら一連のことを知る権利というか、こんなひどいことを知らされていないことに愕然とします。この真実をはっきり言っているサイト、屋根屋はかなり少数派です。

業界の不都合を言いたくないのです。ですから私のような業界以外から入った人間には何かおかしいと簡単に言えるのです。屋根業界、建設業界内部の人間はこれを言ったら仕事上かなり不都合なことになるのだと思います。でも変です。

瓦を一枚一枚釘で固定するには工数がかかります。ただでさえ瓦の仕事が少なくなって、かつ職人のなりてがいない状況です。それでもある屋根屋は「釘で一枚一枚止めると工数がかかるから金額が高くなるよ」と聞いたことがあります。その瓦屋さんには二度と仕事を依頼しません。

こういった不都合な(悪徳とは言いませんが、不真面目?)屋根屋がまだまだ多くいます。インターネットではその屋根屋がどういう屋根屋かわかりますか?お助け隊では屋根屋の仕事振りを良く見て信用できる屋根屋かどうかを判断しています。これは経営状態がどうのこうのという問題よりも真面目に仕事ができるチームかどうかで判断しています。

良い屋根屋とはいろいろありますが、自分で自分は信用できる業者だと言っても信用しますか?ということです。少なくともお助け隊では仕事を依頼できるに足る屋根屋を選んで紹介しています。

以上です。

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