ルーフィングは大丈夫か/ガルバリウム鋼板、カバー工法の問題2
ガルバリウム鋼板のカバー工法は、直接ルーフィングを施工しますが、雨漏りが心配。この場合ルーフィングはスレートに密着しません。僅かな隙間がありこれが雨漏りの原因とならないか?自着式ルーフィングで解決です。
お助け隊の立場は、「スレート屋根のカバー工法工事」には基本的に賛成で、その屋根屋を紹介します。しかし、カバー工法の問題点にも注目しています。もし致命的な欠点が見つかったら、止めるか、対策を施すか、何かしらの行動をします。
何故カバー工法に賛成するかのか?お客様と屋根屋双方にメリットがあるからです。お客様のメリットの最大のものはスレートの撤去費用と廃材処理費用がかからない、費用の軽減があるからです。屋根屋のメリットは、工事工数の軽減です。
しかし、メリット、デメリット両方きちんと解説して、デメリットも丁寧に言って対策があればそれを提示する、両方正直に正確に言ってお客様に決めてもらう。良く分からないお客様に偏った説明をしてどちらかに誘導するのは、フェアーな工事屋ではないと考えます。
また、デメリットはお客様にとってのデメリットは、屋根屋にとってもデメリットであることを知ってください、何故か?不良な工事になった場合は、信用問題、保証の問題、はたまた訴訟にも発展する事項だからです。
カバー工法の問題点の考察1
ガルバリウム鋼板によるカバー工法の問題点はつぎのようなものでした;このページで考察するのは、重要な1.です。工法自体、材料自体の問題と考えます。
- スレート屋根の上にルーフィングを施工するのに問題、粘着シートをはるべき
- 下地が劣化している状態でスレートの上にカバー工法をやるのが問題
- カバー工法をしてある屋根に更にカバー工法は不可(カバー工法の3重施工)
- 雨漏りに気付くのが遅れる可能性がある。
- カバー工法は太陽光パネルの設置ができない
- 選択できる屋根材が限られる
- 部分修理が困難、嵌合式のみ
- 古い屋根材がそのままなので、この先20年、30年も下の材料がもつのか?
- 古い屋根材、苔、カビなどそのまま残すので、心理的に気持ちが悪い。汚いものには蓋というのが気に入らない。
- 火災保険が使えなくなる可能性がある。
>>>デメリットメニューに戻る
a.は非常に重要な問題と思います。簡単に言っていますが結構深いルーフィングの問題です。原文では「まっ平らなベニヤの上に敷くから意味があるのであり、コロニアルの上には、粘着シートを張らないと、雨漏りの防止にはならないのです」何のことを言っているのでしょうか?
カバー工法時のルーフィングの施工方法
実際のルーフィングの固定はカバー工法の場合、タッカーではありません。タッカーではコロニアルが固すぎて打ち込めないのです。どうするか?写真のように小さなプレートと釘で固定します。
左が全体の写真、右が固定した釘の拡大写真です。タッカーが使えないので、少し長い釘と金属のプレートでルーフィングを固定しています。釘はコンパネに貫通し固定されています。釘は金槌ではなく「ガン」という圧縮空気で釘を打つ専用のツールで打ち出します。結構強い力で釘を打つので、右の写真のようにコンパネに打たれた釘+プレートは少し沈んでいます。これがカバー工法のルーフィングまでの施工の実態です。
さて、この問題を提起したサイトの文言は「まっ平らなベニヤの上に敷くから意味があるのであり、コロニアル(スレート材)の上には、粘着シートを張らないと、雨漏りの防止にはならない」のは、このルーフィングの固定のやり方その後のルーフィングの接着を言っています。
ルーフィングとはアスファルトの浸み込ませた材料で、表面が(裏面も同じ)太陽光で温められるとアスファルトが融解し、下地材に接着します。この下地に接着することは重要で、無数のタッカーが打たれていてもその小さな穴の周りはアスファルトと下地が密着していますので滅多に水は下に行きません。雨が止むとその水は乾燥して雨漏りになりません。
ところがカバー工法のルーフィングの固定のやり方は上の様に、釘+プレート止めで借り止めの程度です。そしてコロニアルとのアスファルトの接着度合いは、かなり隙間が空く施工になります。
コロニアル、スレート屋根にルーフィングを施工した断面図になります。
スレート材料とルーフィングとの間に僅かですが、隙間ができます。コンパネの上に直接施工するとこれらの隙間はできないです。これが問題と思います。スレート材の上にルーフィングはだめ、ルーフィングはコンパネの上に施工して雨漏り防止が有効になると言っています。スレート材料の上にルーフィングを張るとスレート材料に密着せず、アスファルトによる固定が不十分で隙間ができて防水機能が不十分です。
この上にガルバリウム鋼板を施工し、ビスで固定します。このときガルバリウム鋼板の隙間から侵入した水はルーフィングの上を伝わって軒先へ排出されます。ルーフィングが防水の機能を失わない場合は問題ありません。たとえスレート材料とルーフィングの間に隙間があっても大丈夫です。
しかし、隙間があることは、そこはスレート材料とルーフィングが密着していません。もし、ガルバリウム鋼板の施工中、工事中に足で材料を踏みつけて僅かでもルーフィングに傷をつけ、破れてしまうとそこから水が侵入します。
また地震では屋根も揺れます。揺れは殆どの場合屋根全体を同じように揺すりますので、ルーフィングに変な力がかかることは稀です。その横方向の地震の力が一様でない場合はルーフィングに横方向、縦方向に力がかかることも否定できないです。これによりルーフィングが裂ける危険があります。ないとは言えない。また隙間があることによりルーフィングの裏面が空気に触れているので、劣化が早いのでは?と考えてしまいます。
コンパネに密着することでアスファルトの接着作用が働き、防水機能がより強くなることは、ありそうです。実験する必要があるかもしれません。誰もやっていませんが・・・
上の心配
「ルーフィングはコンパネの直上に施工しないと意味がない、気休めにしかならない」というのは言い過ぎと私は思いますが、一理あると思います。しかし、お助け隊では12年以上このガルバリウム鋼板によるカバー工法をやっていますが、雨漏りのトラブルはありません。
もし、心配ならこれの解決策はルーフィングを粘着式または自着式のものにすれば解決です。スレート材料の上に自着式のルーフィングを施工すると、スレート材料とルーフィングの間の隙間がなくなり、スレート材料とルーフィングが密着する。下図
裏面に接着剤が塗布してあって、凸凹したスレート材料に隙間無く密着することができます。そしてスレートに太い釘を打ってルーフィングを固定する必要がありません。この上にガルバリウム鋼板をビスで固定するのですが、ルーフィングを接着剤で固定しますので、その分の穴は開けずに済みます。
心配なのは、施工したルーフィング、重要な防水材ですが、自着式でない場合はスレートとの間に隙間ができ、スレートに密着できないことは言いました。自着式でスレートに密着できた方が工事中に足で踏んだり、地震の揺れでなどでルーフィングに穴が空いたり、破れる危険がより少ないと考えます。
自着式のルーフィング製品の例:
上の製品はお助け隊が参考に購入したもの: 田島ルーフィングの「アンダーガムロン」ホームセンターにて注文購入です。コンパネにしっかりと密着&接着。一度接着すると剝がすのは非常に困難。裏地にコマーシャルが無くのっぺりしています。
自着式のルーフィング製品:
- アンダーガムロンK; 厚さ:1.0mm/18Kg
- アンダーガムロンM; 厚さ:1.5mm/23Kg
- アンダーガムロンDX; 厚さ:2.0mm/18.5Kg
以上は田島ルーフィングの製品。この他日新工業、ガムスター工業、常裕パルプ工業、静岡瀝青工業などのメーカーが自着式のルーフィング製品を手掛けています。今後は需要が伸びると思います
(2020. 11 .9)
自着式のルーフィング製品の耐用年数
自着式のルーフィングの寿命は、保証ではありませんが、おおよそ20年といったところです。
ルーフィング製品のメーカーは全て、耐用年数の規定、仕様がありません。もちろん自着式のルーフィング製品の耐用年数の規定も各メーカーは言っていません。ここのアンダーガムロンのメーカーである田島ルーフィングの営業に聞いたところ、「あくまでも目安ですが」と断って、一般的なゴムアスと同等とのことでした。
因みに規定や保証ではありませんが、カタログに耐用年数を記載している製品があります。田島ルーフィングの「NEWライナールーフィング」:30年、「マスタールーフィング」:60年です。何度も言いますが保証ではありません。ただカタログに記載するということは自信があるのだと思います。残念ながら、アンダーガムロンにはこの記載がありません。他のメーカーの製品と同様。
田島の自着式のルーフィングには、この他にタディスシリーズの製品があり、種類が豊富で力が入っている製品群です。(すみません。何回もこのサイトで書いていますが田島のまわしものとか広告料を貰っているとかはありません。田島推しには訳があります)
初めの話に戻って、更に言うと;
自着式のルーフィングを使うことで、かなりスレートとルーフィングの隙間は埋まると思います。但し、スレートを高圧洗浄した方がより密着は確実になります。スレートの表面は長年の汚れがあって、特に砂、埃は綺麗に取り除くべきです。高圧洗浄は100㎡の屋根で高々1万円程度なので、やった方が良いと思います。もちろん表面が乾燥した状態で自着式のルーフィングを施工します。
>>>デメリットメニューに戻る
以上になります。