屋根の耐震診断/耐震評価と巨大地震への備え

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日本の「耐震診断法」/巨大地震から守る為に

木造家屋において、この家は巨大地震に強い、倒壊しない、この家は倒壊の危険が大きいなどと、判断する基準があります。一般財団法人 日本建築防災協会、国土交通大臣指定耐震改修支援センターが発行している 2012年改定「木造住宅の耐震診断と補強方法」にその判断方法、耐震診断の方法、評価の計算方法が書いてあります。

木造建物の耐震診断と補強方法Book

木造住宅の耐震診断は、これによる診断評価の段階は;

・1.5以上:倒壊しない
・1.0~1.5未満:一応倒壊しない
・0.7~1.0未満:倒壊の可能性がある
・0.7未満:倒壊の可能性が高い

その木造家屋で、巨大地震の家屋にかかる力と、その力に耐える力とが、同じ場合は、1.0と評価されます。1.0がしきいち値になります。巨大地震の力の方が大きいと倒壊しやすくなり、1.0より小さい値に、木造家屋の地震に対抗する、倒れまいとする自身の力が大きい場合は1.0より大きい数字になって倒壊しない理屈になります。その評価の数字は次式で計算します;

耐震評価点 = 保有耐力 / 必要耐力

・保有耐力:その家が持っている大地震に対抗する力
・必要耐力:地震が家を倒そうとする力

つまり、巨大地震の力である必要耐力とその木造家屋の保有耐力が同じ場合は、1.0です。木造住宅の耐震の補強をして、保有耐力を大きくすれば、数値は1.0より大きくなり倒壊しにくくなります。逆に必要耐力が保有耐力より大きいと数値は 1.0未満となり倒壊する可能性が大きくなります。

 

必要耐力/巨大地震の家にかかる力

必要耐力とは、その木造家屋にかかる巨大地震の力で、その大きさは単純に言うと家屋の重さに比例するとあります。重い家ほど地震の力は大きくなります。え!重いものほど動き難いから、地震の力は小さいのでは?と思う方もいると思いますが、そうではなく、地球規模の巨大地震の力はとてつもなく大きいので、軽い家も重い家も同じように、動かされます。

同じように動かされますので、地球規模の大きな地震から貰う運動エネルギーは重い家の方がその動く力は大きいのです。ちょっとややこしいですが、重い家ほど地震から貰う運動エネルギーは大きく、その家屋を倒そうとする力も大きいと考えられます。この地震による力を必要耐力と言っています。

 

保有耐力/木造家屋自身の力

家屋の力と言うと分かり難いかもしれませんが、巨大地震の力に対抗する家自身の抵抗力です。この力は家の構造、壁の量、柱、梁の耐力によります。この保有耐力の計算方法が「木造住宅の耐震診断と補強方法」にはこと細かく計算方法が書いてあります。

これも簡単に言えば、家が倒壊しないようにするには、壁の量、地震の揺れに対抗するものは、壁、柱の抵抗力です。この壁ができるだけ多く、頑丈なものであればあるほど、保有耐力は大きくなり、倒壊しません。補強する場所とその材料のことが詳しく書かれています。

 

家屋が倒壊しない為の耐震対策:

やることは、大きく2つ、その家屋の必要耐力を小さくするか、保有耐力を大きくするの2方向の対策が考えられます。必要耐力を小さくすれば評価値はより大きくなり、保有耐力を大きくすればこれもまた、評価値を大きくできます。

具体的には、必要耐力を小さくすることは、家の重さを小さくすることです。外壁でも家の中の家財道具、設備などを軽量化すれば家の全体の重さは軽くなります。そして最も効果の高い、工事としてはやりやすいものは、重い屋根の軽量化です。もし屋根が瓦屋根であれば、これをトタンやガルバリウム鋼板にすると、かなりの軽量化になります。

>>> 具体的な軽量化によるモデル例、どれだけ評価値が変わるか?

 

もう一方は、保有耐力を増やすことです。

保有耐力とは家屋が倒れないように地震に対抗する力で、具体的には壁の補強、柱、梁の補強、壁に筋交いをいれたり、耐力壁(合板を壁に施工する)など家を巨大地震の力に負けない補強をすることになります。「木造住宅の耐震診断と補強方法」のかなりのページが具体的な補強方法と、その補強をした場合の評価値について割かれています。

 

家の重さってどれくらいなのか?

木造の家屋の重量はどのくらい?なのか。家を建てて構造計算をする際には必須のことなのですが、残念ながら、注文住宅にしろ、建売にしろ構造計算などは実施しないのが実情です。

建築法にはこの家の重量計算の方法が載っていて、ご自分でも計算できます。そんなに難しくありません。参照:建築基準法- 第84条:固定荷重

例えば、2階建て、1階床面積:30㎡、2階床面積:23㎡、瓦葺き、外壁はモルタル、内壁石膏ボード、クロス張りの家の全体の重量はおおよそ、18トン、18,000Kgです。

 

良く言われること、実施されること:

瓦屋根をガルバリウム鋼板にすると、地震に強くなる、スレートの上にガルバリウム鋼板を重ね葺きをすると、屋根が重くなって耐震に不利だ!

どちらも正しいことを言っていますが、問題はその程度です。耐震を考える、必要耐力を軽減するときに、知らなくてならないのが、その家の重さです。この家の重さ全体に対してどれほど重さが変化するのか?が重要です。

例えば 分かり易く 100㎡の瓦屋根の瓦をずべてガルバリウム鋼板にしたときの重さの変化は、4500Kgから、500Kgへの変化なので、変化は-4,000Kg、4トンの減少です。

100㎡のスレート屋根にガルバリウム鋼板を施工すると、その重さの増加は、+500Kgです。500Kgの変化は大きいと思いますが、問題はこの増減が家全体に占める割合です。

では100㎡の屋根の家の重さは?

と家の重さがわからないと、果たして耐震の評価値に対してどのくらい改善されるのか?悪化するのか?計算できません。

ではモデルを更に詳しく設定して、この問題の回答を導きたいと思います。

 

瓦を撤去して、ガルバリウム鋼板に屋根を葺き替えたときの評価の変化

スレート屋根にガルバリウム鋼板をカバーしたときの評価の変化

 

この2つの命題は、特に屋根の軽量化で瓦をガルバリウム鋼板にするのは頻繁に実施されています。屋根を軽くするは耐震にとっては正しいことなのですが、いったいどれだけ効果があるものなのか?だれも言及していないので、計算してみました。またスレート材のガルバリウム鋼板によるカバー工法は耐震に不利ということも時々聞きますので、本当にそうなのか? これも検証してみました。

以上になります。

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