ルーフィングのトップページ目次:
2次防水材である重要なルーフィングはご自分で選んでください!!
■アスファルトルーフィング、略してルーフィング、家を雨漏りから最終的に守っているのは、この防水材です。例えばルーフィングだけ施工して、雨が降っても雨漏りは発生しません。逆にルーフィングを施工せず、仕上材(瓦、スレート、ガルバリウム鋼板、トタン)だけ施工した場合は、雨漏りを100%防ぐことはできません。ルーフィングの重要性が理解できると思います。
仕上材も重要ですが、同じようにルーフィング・防水材も屋根にとって重要です。今まで価格の安さ、存在感があまり無かったので、その重要性が認識されていないように思います。また仕上材の耐用年数が延び、50年以上の製品も出てきています。これに対応したルーフィングの選択、ルーフィングの施工方法もお客様が考える時代です。
ルーフィングも進化しています。製品の選択、施工方法等その最新情報をお届けします。
ルーフィングの知られざる重要性/防水の要です
雨、雨漏りを防いでいるのは、瓦でも、スレート材でもガルバリウム鋼板でもなく、このアスファルトルーフィング(略して;ルーフィング、又は防水材)です。
乱暴に言えば、瓦が欠けても、割れてもスレート材に大きなひびが発生しても、ルーフィングがしっかりしていれば雨漏りは起こりません。瓦やスレート材が割れて雨漏りが起こるのは、その割れたことによってルーフィングにダメージを与えたからです。ルーフィングが破れたり、穴が空いたりです。ここから雨漏りが起こりえます。
注意:
・ルーフィングは下葺き材ともいいます/防水材、下葺き材、アスファルトルーフィング、ルーフィングいろいろ言い方がありますが同じものです。
・仕上材とは屋根の一番上に施工される、瓦材、トタン、スレート材、ガルバリウム鋼板などの屋根材のことです。一番気になる屋根材です。
ルーフィングの組成、機能/ルーフィングって何?
ルーフィング、下葺き材(したぶきざい)とは防水材のこと
日本語では下葺き材(下地材ではありません)、ルーフィング、アスファルトルーフィングこれらは同じもので防水材のことです。原紙、不燃布等にアスファルトを染み込ませ、保護膜で覆った厚さ1 mm程度のシート状のものを言います。
アスファルトは、原油を分溜した一番比重の重い物質です。防水性が強く、古代エジプトより昔から、防水に使われていました。現代では道路の舗装にも使われています。そのアスファルトです。
※右の写真のシート状のものがルーフィング、これを、通常はタッカーで下地材(コンパネ合板)に固定します。このシートの厚さは、1mm。左:三星P-カラー(田島ルーフィング)です。
断面の様子は;
ルーフィングにはいろいろな種類があって、その違いは;
基材:
図の真ん中に原紙とありますが、この場合は基材が紙(正確にはフェルト)です。最近はより破れ難い不燃布を使います。
防水剤:
アスファルト(原油の一番重い成分)が基本的な防水材料です。基材に塗布、染み込ませ、水を防ぐ仕組みです。このアスファルトに混ぜものをしてより耐久性を向上させたものが、改質アスファルト(ゴムアス)です。
裏面の様子:
ルーフィングの固定方法は、通常タッカー(ホチキスの大きいもの)で止めますが、点で固定するものから面で固定する粘着式、自着式のものが出てきました。この固定する方法の違い、ルーフィングの裏側に専用の接着剤があるかどうかの違いがあります。
基材が紙より不燃布、純粋なアスファルトより改質アスファルト、裏面に接着剤のあるものの方が一般的に耐用年数が長く丈夫なルーフィングです。材料自体も長持ちですが、下地材に施工した状態がどうなったかでもその持ちの長さが変わると考えます。
日本でのルーフィングの機能を確実にする規格について・・・アスファルトルーフィングの規格
雨漏りする寿命と「外観・美観」の寿命は違う
雨漏りが始まったらそろそろ屋根の寿命かな?と思います。ではどの材料の寿命、耐用年数が来たのでしょうか?雨漏りを防いでいるのはルーフィングですので、ルーフィングの耐用年数がそろそろ来たと考えるべきで、瓦やスレート材、トタンの仕上げ材の耐用年数ではありません。屋根の耐用年数には2つあり、家を形成する美観、意匠を綺麗に保つ寿命と家を雨から守る、雨漏りの寿命との2つです。
1:家の美観、景観を美しく保つ、屋根は家の意匠そのものです重要な機能
2:家を雨から、特に雨漏りから守る機能
1の美観の寿命は個人の感覚で違います。どれだけ仕上げの劣化が進んだら寿命なのか?交換か、塗装かを判断するのは重要なことですが主観的なこと。屋根は家の意匠そのものですから重要です。
2:の雨漏りはもっと切実です。雨漏りを長期間放置すると、屋根裏を腐食させ数年間何も対処しないと住めなくなります。それより前に対処するでしょうが、この雨に対する耐用年数は、ルーフィングの耐用年数のことです。繰り返しですが、仕上材がどうなろうと、ルーフィングさえしっかりしていれば雨漏りは起こりません。
これらを混同してはいけません。例えばスレート材の塗装が剥げ、ヒビ、割れもひどくなったのは、美観が損なわれたのであって、ルーフィングが劣化したことではありません。よって雨漏りが発生するかはスレート材を見ただけでは分からないのです。これが築10年足らずでスレート材が劣化してもルーフィングの耐用年数は20年程度ありますので、すぐには雨漏りにはなりません。しかし、スレート材の間から雨が頻繁に入り込みルーフィングの劣化を早めることはあると思います。
ルーフィングの寿命、耐用年数
現在主流で使われている「ゴムアス」(ゴム改質アスファルトルーフィング)で20~30年、適当ですね?と言われますが、適当にしか答えられないのが現状です。メーカーが答えていないのですから。当然保証もなく、ユーザーや屋根屋はどのルーフィングを選べば良いのか?分かりません。屋根屋はどのように選んでいるのか?
確たる理由はないようです。試しに見積を取ったら聞いて見てください。見積にさえルーフィングの製品名とメーカー名の入っていない見積が殆どです。これってルーフィングは何を施工されるのか、屋根屋任せってこと、どんなルーフィングを施工されても文句は言えないです。これからはルーフィングを屋根屋に任せる時代ではありません。仕上材と同じように施主がルーフィングを選んで依頼する時代です。
仕上材との相性、対応が重要と考えます!
今までのガルバリウム鋼板では耐用年数が25年です。今の改質アスファルトルーフィング(ゴムアスもこの一種)で十分ですが、新しいガルバリウム鋼板の耐用年数は30年以上です。ジンカリウム鋼板は50年。(因みに釉薬瓦は60年)これでゴムアスの耐用年数20年の製品で良いのでしょうか?
保証値ではありませんが、耐用年数が30年以上と謳っている製品があります。田島ルーフィングのニューライナールーフィング、60年と言っているマスタールーフィングです。マスタールーフィングは施工価格で¥4,000~¥5,000/㎡ですのでちょっと手がでません。でもニューライナールーフィングなら普及品と少しの差額で施工が可能です。(¥800~¥900/㎡程度)
本来なら2,3の製品を候補に挙げたいところですが残念です。このライナールーフィングは30年以上も前に販売されていて、今は名前が「ニュー」ライナールーフィングと変っていますが、カタログに耐用年数:30年と記載されています。他の製品には耐用年数の記載がないです。
>>> ルーフィング、防水材のJIS規格と優秀な製品について
ルーフィングの防水性能の経年変化/促進実験値
JISや工業会の規格試験だけでは耐用年数がどのくらいなのか、分かりません。寿命に関する試験項目、例えば1年分の悪環境を短時間負荷をかけて、時間を短くして測定する負荷試験や促進試験などをメーカーが独自でやっています。そのデータが唯一の目安です。下の様なグラフです。
田島ルーフィングのルーフィング製品での促進試験のグラフです。マスタールーフィング、改質アスファルトルーフィング(所謂ゴムアス)、一番初期の規格品であるJIS A6005 940のルーフィングの3つを悪環境下で時間を縮めて試験をしたものです。
縦軸は防水層の柔軟性で耐用年数と何の関係があるのかというと、アスファルトは経年変化でだんだん硬くなり、釘、ビス、タッカーの針の隙間を埋めきれなくなり漏水が始まります。この柔軟性のなくなる時期が雨漏りの始まる時期としているわけです。必ずしも柔軟性の喪失と雨漏りの始まる時期は同じではありませんが、柔軟性のレベルが矢印のころになったら釘やビスの隙間から雨漏りが始まる可能性が大である範囲としています。
改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)で20年前後、マスタールーフィングではなんと60年経ってもアスファルトの柔軟性は危険レベルに達していません。
アスファルトルーフィングの規格について
防水機能を確実にする為に、日本ではルーフィングの規格が2つあります。JISA6005規格(日本工業規格)とARK-04(ルーフィング工業会)の2つです。このいずれかの規格に合格した製品だけが日本で販売されています。規格に合格しないものは販売されていないと言って良いと考えます。
- JIS A6005規格アスファルトルーフィング
- ARK-04 改質アスファルトルーフィング
どのような試験、チェックをしているか?
・製品の単位面積あたりの重さのチェック:940g/㎡以上
・アスファルトを塗布する原紙の質量チェック:180g/㎡以上
・塗布されたアスファルト量のチェック:400g/m²以上
・加熱減量 5%以下 (高温での重さ減量のチェック)
・引張強さのチェック:長手方向、幅方向、簡単に引き裂かれないことをチェック
・耐折り曲げ性強度:折り曲げても折れない強度チェック
・アスファルトの浸透状況 アスファルトの不浸透部分がないこと
・耐熱性:被覆物のずれ落ち、発泡、
・浸透しているアスファルトのしみ出しなどが生じないこと。
ARK-04 改質アスファルトルーフィング規格(JWMAアスファルト防止部会の規格)
・完成した 1巻の長さチェック
・製品の幅
・製品の単位面積質量
・基材の単位面積質量
・改質アスファルトの単位面積質量
・引張強さ N/cm 無処理 長手方向 60以上、幅方向 40以上
・加熱処理 長手方向 無処理試験値の80%以上
・幅方向 無処理試験値の80%以上
・引裂強さ N 長手方向 7以上、幅方向 7以上
・釘穴シーリング性 リング釘 試験体10個中8個以上に漏水が無いこと
ステープル釘 注) 試験体10個中8個以上に漏水が無いこと
・耐折曲げ性(長手方向)無処理試験片10個中9個以上に亀裂が生じないこと
・加熱処理後試験片10個中9個以上に亀裂が生じないこと
・改質アスファルト等の浸透状況改質アスファルト等の不浸透部分がないこと
・耐熱性 被覆物のずれ落ち、発泡、浸透している
・改質アスファルト等のしみ出しなどが生じないこと
・寸法安定性 mm 長手方向 0±3
・幅方向 0±3
JIS規格も業界規格も、ルーフィングシートのいろいろな負荷に対して強度をチェックすることが主な試験ですが、ARK-04規格の釘穴シーリング性は、JIS規格にない試験項目で、漏水に関する重要なチェックです。
それでも、この規格・試験には耐用年数についてのものがありません。実際に屋根に施工して、10年、20年と雨漏りが発生しないテストはしていないのです。各社の製品には、耐用年数についての保証はおろか、どのくらいもつものなのかの記述も仕様にはありません。
JIS規格品とARK規格品の違い:
JIS A6005 規格のアスファルトルーフィングでも、940、1500があります。これは同じ規格を通った製でも重量の違いです。940は1㎡の重さが940g、1500は、1500gの意味で、アスファルトの厚さが違い当然1500の方が長持ちすると考えられます。
JISの規格A6005は、2005年に改定されましたが古い規格なので、アスファルトルーフィング工業会が自身で定めた新しい規格がARK-04規格です。JIS規格より合格ラインを厳しくしたこともありますが最大の違いは穴あきシーリング性の試験が追加されたことです。
これはルーフィングに釘を刺し、水漏れがないことを試験するもので10個試験し、8個以上に水漏れがないことが合格ラインです。
でも逆に言うと、10中2個に水漏れがあったとしても規格を通ってしまうと言う意味です。生産された内の20%に漏れがあったおしてもOKなのです。そういう規格です。
こんなこと誰も言ってくれないですが、事実です。ですので、ルーフィング大手の田島ルーフィングでは、20%に漏れは無いことを言いたいので、上位機種には全数10個中10個に漏れがないことをカタログに記載しています。ここは要チェックポイントです。漏れがある残り20%のものを使いたくないです。
新しい規格ARKー04規格の製品でも良し悪しはここにあります。これは製品の安定性、製品の全数に漏れが無いと言っている製品と、何も言わない製品とは性能の安定性において違いがあるのだと思っています。ここが多少製品の価格にあらわれているのかな?と思っています。
ゴムアス/改質アスファルトルーフィングとアスファルトルーフィング
良く「ゴムアス」という名前を聞くのですが、ゴムアスとは何か?ルーフィングに求められる性能は耐用年や水漏れ防止です。どれだけ長い年数防水の機能を保てるか?釘穴やタッカーの針からの水漏れを何年も防ぐ為にルーフィングにより柔軟性を持たせる為に、アスファルトの性質を変える努力がなされました。
ゴムの成分やアスファルトが早く硬化しないようにいろいろな成分をアスファルトに混合してこの水漏れをより防ぐことが可能になりました。このゴムの成分を混合したルーフィングを「ゴム改質アスファルトルーフィング」と言っています。長いので「ゴムアス」と言っています。
これに対して、何も改良していないアスファルト成分で製造されたルーフィングをアスファルトルーフィングといいます。多くがJIS A6005 940規格を取った製品として出荷されています。
今屋根に施工されているのは、このゴムアスや改質アスファルトルーフィングが主流で、規格としてはARK-04規格に合格したものが多いです。でもたまにJIS A6005のものを安く施工している屋根屋もいますので、注意がいります。このARK-04規格のゴムアスで¥600~¥800/㎡程度です。つまり¥400とか¥500などの見積価格では、古い規格の安い製品である可能性があります。
ルーフィングのランク:
・アスファルトルーフィング: JIS A6005 940の古い規格の製品
・改質アスファルトルーフィング: ARKー04業界規格の製品
規格を取っていない製品だけど、優れたルーフィング
・自着式ルーフィング(または粘着式)
・ニューライナールーフィング、マスタールーフィング
ルーフィングは、見積を見てどこの、どの製品なのか?確認してください。いえ、ご自身でできれば選んでもらいたいです。
ルーフィングメーカー各社
田島ルーフィング株式会社:東京支店: 03-6837-8877
七王工業株式会社:東京営業所:03-3652-8151
静岡瀝青工業株式会社本社代表:054-273-3080
常裕パルプ工業株式会社:ルーフィング部門代表:0875-63-3030
ガムスター株式会社 <http://www.gumstar.co.jp/>
昭石化工株式会社 <http://www.shosekikako.co.jp/>
東和工業株式会社 <http://www.towaltd.co.jp/>
日新工業株式会社 <http://www.nisshinkogyo.co.jp/>
三島工業株式会社 <http://www.mishima-roofing.com/index.html>
以上、
ARKアスファルトルーフィング工業会に登録のルーフィング製造会社 9社
各社のカタログには、規格に合格した数字などはありますが、お客様にとって最も知りたい耐用年数、そのルーフィングはどれくらいの寿命なのか?がありません。耐用年数を規定するのはメーカーとして難しいのは解ります。しかし、下の2種は、カタログに耐用年数(保証ではありませんが)が書いてあります。
規格とは別に、耐用年数をカタログに書いた製品が;
・耐用年数30年とある:ニューライナールーフィング
・60年の耐用年数:マスタールーフィング:です。
この2製品は別格です。何故かと言うと、カタログにその耐用年数がしっかり記載されているからです。もちろん保証値ではありませんが、カタログに書けるということが重要と思います。それだけ自信がある、ニューライナールーフィング
田島ルーフィングを薦めると「お前は田島ルーフィングの回し者か?」と言われそうですが、良い製品を探したらたまたまこれらが田島ルーフィングの製品だったのです。リベートもバックマージンも田島ルーフィングから貰っていませんし、安いからでもありません。薦める理由があるからです。ご自分でも確認してください。ルーフィング各社を記載しましたので、HPを見たり電話をしたりして調べてください。確認して納得することが大事です。
タッカーで固定するもの、粘着式のものの違い
昔も今も、ルーフィングはタッカー(ホチキス止)で止めています。その劣化の様子を下の写真で見てください。屋根葺き替えで仕上材を撤去した時に見える古いルーフィングの劣化の様子です。この屋根は築27年。別の箇所で雨漏り、屋根葺き替えの希望ということで、撤去工法にて工事でした。
上の写真の箇所ではまだ雨漏りは発生していないと思われます。少なくとも部屋の天井からの雨漏りは無かったです。下地に僅かシミが出来ているかもしれません。
別工事案件:
仕上材から漏れた水の通り道ができて、劣化が進むと下の写真のようになって雨漏りが発生します。この屋根は軒先の裏側、軒天といいますがそこに水が回って軒部分から崩れていきました。
築後30年経過しています。しばらく空き家になっていて、再び住む予定でしたが、屋根を修理しないと住めない程劣化していました。こうなっては部分修理は出来ないので葺き替えです。仕上材はセメント瓦の屋根でした。
セメント瓦のずれから雨水が侵入し、長い時間ルーフィングを濡らしていたと考えられます。そしてタッカーが錆びてその穴から漏水、下地も凹んでいましたので、あるとき下地の凹みから大量に雨漏りが発生し、軒先をひどく劣化させています。原因はルーフィングでの防水機能の崩壊と考えます。
住んでいれば本格的な漏水の前に少しづつ軒天が濡れていたと思います。軒先近くの雨漏りは軒天の色が変化する、シミが見つかるなどで、雨漏りの兆候が発見できます。でも住んでいないと分からないですね。軒天にテープが貼ってありますが、効果はありません。部屋の中にも雨漏りがありました。
タッカー止のアスファルトルーフィング(左)、自着式アスファルトルーフィング(右)
自着、粘着式ルーフィングは、JIS規格、ARK-04規格にはありません。
現在のルーフィングの固定方法は、タッカーやくぎです。これは点での固定であり、タッカーを打つということは、針でルーフィングに無数の穴を空けることになり、雨漏りの原因を自ら作っていることです。
このルーフィングの欠点を埋める為に、ルーフィングの裏面全体に専用の接着剤を施し、ルーフィングだけでも穴を空ける必要なく、面でしっかり固定する自着式、粘着式のルーフィングが開発されています。既にあります。
ルーフィング規格の規定項目には、引張強度の測定と規定があって、この項目の意味は、施工中や地震の際に、裂けを防ぐためにある程度の引張強度が必要だからです。粘着式で下地に面で接着していれば、この裂けを防げると思います。
タッカー式のものもアスファルトが塗布されていますので、時間の経過とともにアスファルトが接着剤の役目をして、下地と密着、接着するのですが、自着式のものと比較するとその密着度は劣ります。
この自着式は、ルーフィングに穴を開けない、下地と面で接着することがルーフィングの寿命を延ばす要因と考えます。自着式、粘着式の大きな利点になります。ただ価格は少し高めになっています。(後述)
自着式、粘着式のルーフィング製品例:
出典:アンダーガムロンK:田島ルーフィング株式会社、住宅建材デジタルカタログ、P.15 住宅防水建材総合カタログより
- 田島ルーフィング:アンダーガムロンK、アンダーガムロンM、アンダーガムロンDX
- 三島工業株式会社:Proタック、スーパールーフ2号、スーパールーフ3号
- 七王工業:モラサン2号、モラサンAD:粘着式
- 日新工業株式会社:カスタムライト、カスタムダブル、カスタムシャット:粘着層付
- 常裕パルプ工業株式会社:サンシール貼ってGO:粘着層付
- ガムスター: Tシリーズ
- 静岡瀝青工業株式会社:ライトフィット、タックルーフ、プロタイト:粘着層付
アンダーガムロンDXの梱包を開けたところ、裏側の粘着層と表の様子です。表は少しザラザラした表面で、施工時には滑らないようになっています。
ルーフィングは劣化します/特にタッカー付近から強く劣化すると思われます
タッカーを使わない自着式ルーフィングは、タッカーが錆びて穴を大きくし、そこから雨漏りということがありません。これだけでも、ルーフィングが同じ材質なら耐用年数がの長いのは自着式ルーフィングだと簡単に理解できます。
では、30年の耐用年数があるニューライナールーフィングと比較して、どちらが良いのか?という質問をしたくなります。でもはっきりしたデータがないので、お答えできません。メーカーも実験していると思いますが、今は公にしないと思います。
きちんとしたデータがあっても出さないとと思います。自着式ルーフィングが優れているとわかったら普通のアスファルトルーフィングが売れなくなります。また、自着式ルーフィングは高いです。施工も面倒です。自着式ルーフィングは一回貼り付けてしまうと接着剤が強力なので、間違ったから張替えしようにも剥がせないのです。これは屋根屋さんが困ることです。
多分そういう苦情?があったので、張替えのきく製品を田島ルーフィングは出してきています。ダディス・セルフという粘着層のルーフィングで:遅延タイプと括弧で書いてあります。何のことだろうとお客様はわかりません。
これは、粘着するのが、遅い、貼ってから少し時間を経過した後に固まる、接着するという意味で、貼り直しができる自着式ルーフィングなのです。お客様には関係ありませんが、屋根屋にとっては重要です。慣れれば、使い方、位置決めを一回で成功させればこの機能は不要になります。ただし本当に一回接着したら剥がすのに苦労しますし、その1本は廃棄になるほど接着力は凄いです。
逆に言えば、一回接着したら二度と剥がせないのは、ルーフィングとして優秀ってことですが。
自着式ルーフィング、粘着式ルーフィングはまだ高い
一般の改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)は、相場で¥700/㎡、ホームセンターで、購入してみましたが、1本で¥4,700(税込み)幅1m、長さ20mですので、¥235/㎡です。実際の施工には、これに施工費と儲けが加算されます。
自着式ルーフィングの価格は、アンダーガムロンDX;Rakutenの通販で¥12,450でした。幅1m、長さ 8mなので、1本は、8㎡、平米単価は¥1,556/㎡、これに施工費と儲けなので、かなり価格は高いと言わざるおえないです。100平米の屋根を施工するとなると、20万円程度になるので、ちょっと難しいかもしれません。
ルーフィング価格の調査/ルーフィングの原価
アスファルトルーフィング、ゴムアスの材料費: ¥243/平米
ルーフィングは、一般の方でもインターネットやホームセンターでも購入できるので、一般売りではありますが、どのくらいの価格で購入できるのか調べてみました。
ルーフィングの市場価格のわかる、kakau.comの調査から、良く使われるゴムアス、規格では、JIS6005 940か、ARK-04規格以上の改質アスファルトルーフィングを選び出し、一番多い価格帯を調べました。
結果ルーフィング1本の価格はおよそ¥5,000~¥5,500の価格帯に製品が集まっていました。もっと高い価格もありますが、ゴムアス1本の価格は一番多く値付けされている金額で¥5,500であるとわかりました。
調査サンプル78品目中、マスタールーフィング、NEWライナールーフィング、自着式のものは除いてこの価格帯の12品目が、アスファルトルーフィング及びゴムアスでした。この価格帯中の平均金額は¥4,865、1本あたりの広さは殆どが 20平米程度なので、製品単価の相場は¥243/平米です。
この¥243/平米は、基本的には一般顧客向けの値付けであることを念頭に金額を考えなければなりません。当然メーカー各社の価格表示はありません。ですから屋根屋が卸から購入する価格とWebでの価格は違うはずです。(ホームセンターでの価格も一般消費者価格)
でも屋根屋の仕入れ値は不明なので、この¥243/平米を使います。
ルーフィングの単価は、¥243/平米。これは施工価格中の材料費です。これに施工する手間賃、施工会社の儲けが乗って、屋根屋さんのルーフィング施工単価になります。是非このルーフィングの製品名と施工単価、数量、金額は見積書に書き出して欲しい項目になります。
一式とか、屋根材施工とルーフィングを一緒の見積項目にしないで欲しいです。もし、ルーフィングの項目を何かと一緒の項目にしてあったら、独立にルーフィングの見積項目を出して欲しいと要求するのが良いと考えます。
屋根屋さんのルーフィング施工単価
アスファルトルーフィング、ゴムアスの施工単価:¥700/平米
Web上でのルーフィングの単価を調べてみました。ルーフィング単体での価格設定がないサイトも多いですが、実際の見積を出しているサイトもあったので、いくつか抜き出してその相場らしき(とても全国の正確な相場ではないですが・・・)ものを提示してみます。
「屋根葺き替え」でGoogle検索をして、上位20社ほどのルーフィング施工単価を抜き出して価格帯ごとにその件数を出してみました。高い金額をつけているのは、高性能なルーフィングである可能性があります。殆どのサイトでは具体的な製品名がありませんでした。
平米単価とその見積件数と表にすると:
- ¥500円台:3件
- ¥600円台:4件
- ¥700円台:6件
- ¥800円台:1件
- ¥900円台:3件
- ¥1000円台:3件
- それ以上:2件でした。
サンプル数が少ないですが、一番多い価格帯が¥700台でこの6件の金額を平均すると、¥733/平米でした。お助け隊の相場観の¥650/平米に近い数字なので、これくらいがアスファルトルーフィング、ゴムアスの施工単価相場なのではないかと考えます。分かり易いように、¥700/平米とします。
仕入れ価格、¥243/㎡、これに施工費と屋根屋さんの儲けが乗ります。平米あたりおおよそ、¥450がそれにあたります。工事はなんでもそうですが、工事単価は、材料費+施工費+儲けの構成です。ルーフィングは単価が安いものなので、仕上材のように金額が高くありませんし、そんなに多くの利潤を乗せられない項目です。「当たらずといえども遠からず」です。
お客様は材料をご自身で仕入れて業者さんに渡す工事方法は採用されないので、ルーフィングの製品市場価格は、参考程度に調べましたが、見積上の材料費がいったいどれほどなのか?の疑問に答えるたくて調べました。ここまでは誰でもちょっとWebで調べればわかることなので、興味がありましたら、ご自身でやってみてください。
耐用年数50年相当の透湿ルーフィング/透湿と防水を両立
雨は防ぐが、屋根裏の湿気・水蒸気は排出できる画期的な透湿ルーフィング。また耐用年数も50年以上の製品もあります。ルーフィング業界で初めて、10年の保証が付いた製品も存在します。
製品例:
・デュポン社、ルーフライナー:10年保証、透湿防水シートのJIS規格 A6111取得。
・フクビ工業、ルーフエアテック:A6111の50年相当の耐久試験に合格した製品
更にこれらの製品は、結露を防ぐ為に屋根裏の湿気を屋根から排出できます。アスファルト系のルーフィングには出来なかった製品です。
ルーフィングについては以上です。
参考文献、図書、規格書:
1:論文: アスファルトの熱劣化、今村敏英、永山民男、前川豊、鈴木正
2:JIS規格;改質アスファルトルーフィングシート JIS A 6013;2005
3:ARK規格 改質アスファルトルーフィング下葺き材 ARK-04-03
4:防水材料の耐候性試験その8:アスファルト防水層の熱劣化試験 中沢裕二、清水市郎、田中亨二
5:田島ルーフィング;住宅防水建材総合カタログ 2021年、Web上のカタログ
6: