スレート、コロニアル

カバー工法か撤去か?/スレート屋根の葺き替え工事

スレート屋根のカバー工法は条件が合えば費用はかなり有利

カバー工法か撤去工法か?選ぶタイトル画像

今最も契約数が多い、スレート屋根工事はガルバリウムによるカバー工法工事です。しかし、カバー工法は全てのスレート屋根でできることではありません。工事の条件があります。

また、カバー工法のデメリット、メリットがありますのでそれを良く踏まえてカバーにするのか、撤去して葺き替えをするのか、決めなければなりません。

カバー工法のデメリットだけを主張し、カバー工法を薦めない屋根屋さん、サイトもありますが、一方的に反対するのもお客の利益を代弁しているとは言えないと考えます。カバー工法の最大のメリットはスレート材の撤去・廃材処理費用を節約できることです。

カバー・重ね葺きが出来る条件を考え、これとデメリット、メリットを考慮して決めるべきです。その条件、デメリット、メリットをお知らせします。

カバー工法ではなく撤去工法を考えるべき場合:

  1. 雨漏りなどの原因で下地材がひどく劣化・柔らかくなり、釘、ビスがきかない場合
  2. 下地材が劣化していなくてもスレート材の劣化でひどく材料が浮いている、上にルーフィングを施工すると、そのルーフィングを傷めてしまいそうな場合・・・要対処
  3. カバー工法で雨水の落ちる位置に不安が残る場合。(雨樋の調整、最悪架替が必要になるかもしれません。)
  4. 古い汚くなったスレート材を残すのが精神的にやな場合(苔、カビは水と太陽を遮ると死滅しますが、その残骸は残ります。)
  5. カバー工法で屋根の重量が増します。ガルバリウム鋼板+ルーフィングの重さです。これは耐震に多少影響を与えて耐震性能を劣化させます。どの程度かは「スレートのカバー工法は耐震に不利か?」を見てください。

スレートを撤去&葺き替えのメリット

カバー工法が始まる前まで、スレート屋根の葺き替えは、屋根材を撤去して、新たにルーフィング・防水材を施工し、仕上材を施工するのが普通の当たり前の工法でした。カバー工法が出てくるまでは、撤去工法なる言い方も無かったと思います。

ですから撤去する方法のメリットと書くと違和感があるのですが、カバー工法のメリット、デメリットがあるので、この工法と同列に議論する為に、メリットをお知らせします。

ちなみに、スレートを撤去する方法とカバー工法との割合は、国土技術政策総合研究所、「木造住宅の劣化対策ガイドライン」でのアンケート調査によると、業者側ではカバー工法を「良くやる、たまにある」の合計で、全体の46%で約半数です。(※2019年の調査)

撤去するメリットは、スレートの下の下地材の劣化の程度、様子を確認できる点です。スレートの上では見えない腐食の様子がわかりますので、補修の必要があるのか?あれば修繕する箇所が正確に把握できます。下地材からきれいに工事を実施することができます。

カバー工法で考察しなければならない疑問や懸念事項がありません。例えばカバー工法で重量が増えて耐震的に心配、屋根の構造が複雑になって修理が大変になる?劣化した既存の材料を残すので、気分が悪い、スッキリしない等です。

古いスレート材を撤去して、下地材をチェックし、新たにルーフィング、仕上材を施工することで、スッキリした屋根のリフォームができます。

費用が安いからと、初めからカバー工法の営業をする業者の方もいますが、カバー工法ができる条件、デメリット、メリット、カバー工法を採用しないメリット等を考えて、決めたいものです。後で後悔しない為に。最終的には現地調査ですが、何か電話で聞きたいことがあれば、0120-58-1152 小形まで、スレートの葺き替えに関して何でもお答えいたします。

 

スレート屋根葺き替えの方法:カバー工法

カバー工法ができる条件をクリアしたら、カバー工法ができます。その一番のメリットは、なんと言っても工事費用です。

スレート材の撤去費用ばかりではなく、2004年以前のスレート材にはアスベストが含有されていて、産業廃棄物としての処理費用がアスベスト以外の残材より1割、2割割高になります。

また地方によってはこの処理費用がかなり高くなっているところもありますので、これも考慮する項目になります。・・・アスベスト入りのスレート材処理費用について

カバー工法のメリット

  1. スレート材の撤去費用 (約¥1,800/㎡程度)と処理費用 (約¥1,500/㎡程度)が必要ありません。60㎡のスレート屋根で:撤去と処理で¥200,000程度ですから、ばかにできないです。
  2. 僅かですが、重ね葺き工法(カバー工法)は断熱性能の向上が期待できます。
  3. これも僅かですが、ガルバリウム鋼板だけの屋根より雨音が軽減されます。
  4. 撤去する方法より工事の期間が短くできます。(少なくとも1日短い)

カバー工法のデメリット

  1. 下地材の劣化度合いを確認できません。劣化を発見できないと心配です。カバー工法をやりたくない屋根屋さんはここが一番心配なところなのではないでしょうか?工事に責任が持てないのかもしれません。
  2. アスベストの処理を先延ばしにします。最後にはアスベストの処理をしないといけないのですが、その廃材処理を何年か先にすることになります。アスベストが飛散することはないのですが、それを封印することになります。
  3. スレート材の上にルーフィング、ガルバリウム鋼板、シングル材は釘で固定しますが、その際スレート材が割れることが稀にあります。また工事中に頻繁に足で踏みます。割れるとルーフィングが傷つき、雨漏りの原因になる「可能性」があります。・・・対策:カバー工法の場合は自着式のものを使いスレート材が割れない工夫が必要です。自着式のルーフィング
  4. スレート材重量の1/4のガルバリウム鋼板が最も良く使われる材料ですが、追加の重量が屋根に加わるので、耐震的には不利です。ではどれくらい悪化するのか?・・・カバー工法の耐震について
  5. 稀にあることですが、カバー工法により屋根の高さが高くなります。10~20mm程度ですが、これにより雨樋の位置が違って雨をうまく受けられないことが発生します。この場合は雨樋の調整、最悪架替が必要になります。カバー工法反対の意見詳細

・デメリット詳細については対策もあります。カバー工法のデメリットリスト

●下地材の劣化が進んでいて、これに釘、ビスが効かない場合はデメリットではなく不可です。

 

 

スレート屋根の屋根工事費用比較/撤去 vs カバー工法

建坪 10坪、屋根面積 49.3平米の家モデルを用いて撤去工法とカバー工法での工事費用を比較します。

 

各部の名称、本体以外の部品、数量については、下の図を参照してください。

建坪10坪の家のパース

使用したサンプルの家と屋根の図面:

10坪の屋根伏図

建坪10坪、屋根面積:49.3㎡、2階建ての家モデルを使って、いろいろな屋根材、工法での屋根葺き替え費用、相場を概算いたします。使う屋根材は、ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、トタン、瓦、アスファルトシングル、工事の方法は既存材料の撤去工法、重ね葺き工法(カバー工法)などです。

ここで使う家、屋根の仕様:

  • 建坪(一階床面積):10坪、33㎡
  • 屋根:切り妻型、
  • 面積:49.3㎡(1階:4.14㎡、2階:45.18㎡)
  • 材質:スレート材
  • 工法:スレート材撤去、カバー工法の比較
  • 葺き替える屋根材:ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングル材の比較
  • 屋根勾配:4寸:4/10
  • 軒先の長さ、1階:3.13m、2階:11m
  • けらばの長さ、1階:2.86m、2階:13.2m
  • 壁の取り合い:長さ、1階:6.0m
  • 2階の棟の長さ: 6.36m

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ガルバリウム鋼板での撤去工法費用(スレート撤去)

葺き替え項目金額単価数量単位備考
スレート撤去費用¥ 88,740¥ 1,80049.3平米
廃材処理費用¥ 73.950¥ 1,50049.3平米
アスベスト飛散防止シート¥ 30,000一式
ルーフィング施工費¥ 44,370¥90049.3平米ニューライナールーフィング、耐用年数30年
ガルバリウム鋼板
本体施工費
¥ 320,450¥6,50049.3平米スーパーガルバリウム鋼板仕様
棟部分施工費用¥ 19,080¥3,0006.36
2階建大屋根の棟
軒先水きり部分¥ 21,195¥1,50014.13軒先に施工する部品、軒先唐草
けらば部分雨抑え¥ 40,150¥2,50016.06切り妻屋根の横部分
壁の取合部分雨抑え¥ 21,000¥3,5006.0一階下屋の壁と屋根との間の部品
足場設置&解体費用¥100,000¥800125平米工事の為の足場費用
税抜き合計¥758,935
諸経費(工事費の5%)¥ 37,947
10%税込み合計
(千円未満四捨五入)
¥877,000

 

 

ガルバリウム鋼板でのカバー工法費用:

葺き替え項目金額単価数量単位備考
ルーフィング施工費¥ 59,160¥1,20049.3平米自着式ルーフィング
ガルバリウム鋼板
本体施工費
¥ 320,450¥6,50049.3平米スーパーガルバリウム鋼板仕様
棟部分施工費用¥ 19,080¥3,0006.36
2階建大屋根の棟
軒先水きり部分¥ 21,195¥1,50014.13軒先に施工する部品、軒先唐草
けらば部分雨抑え¥ 40,150¥2,50016.06切り妻屋根の横部分
壁の取合部分雨抑え¥ 21,000¥3,5006.0一階下屋の壁と屋根との間の部品
足場設置&解体費用¥100,000¥800125平米工事の為の足場費用
税抜き合計¥581,035
諸経費(工事費の5%)¥ 29,052
10%税込み合計
(千円未満四捨五入)
¥671,000

 

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このモデルでの工事費用概算: 具体的な差額

撤去する概算金額 ¥877,000

カバー工法での概算:¥671,000

差額:約20万円(スレート撤去&廃材処理費用)

 

※各価格は、概算で価格を保証するものではありません。正確な費用は、屋根屋の現地調査の後に正式見積をとってください。相場価格は屋根工事お助け隊の独自の相場感で出しています。

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まとめ

建坪約10坪、屋根の面積で49平米のスレート屋根。これを撤去工法とカバー工法で施工した概算費用の差額は、ほぼ20万円でした。スレートを撤去する費用、廃材処分費用、アスベストの飛散防止の為の養生費などがかかります。工事の総額に比して決して小さな額ではありません。

撤去&廃材処理の費用を節約したい気持ちも十分理解しますが、スレートを撤去し、屋根の状態を十分チャックできることも重要なことと思います。どちらにしても調査と考察ができて満足できる屋根工事になると思っています。

また電話でも、現在の屋根材、屋根のおおよその広さ、階数、築年数などをお教え頂ければ概算をその場でお答えいたします。ベストな屋根材、工法もアドバイス、屋根屋の紹介も可能です。

 

参考文献:

論文: 木材保存 Vol 45-6 (2019) 「木造住宅の劣化対策ガイドライン」策定について(その2)維持保存TGについて:国土技術政策総合研究所編

 

スレートの葺き替え方法と概算は以上です。

 

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