工事例/施工例

築30年で葺き替えか?/信じられないほど劣化したルーフィング

築38年のルーフィングの状態/葺き替えが必須だった屋根

洋瓦屋根の外観写真

FSストーンへの葺き替え完了写真

 築38年の洋瓦葺きの下のルーフィングがどのくらい劣化しているか?それがこの工事で私が最も興味を持ったことです。結論、劣化はとても早く、既にボロボロ、跡形もなく粉々になっていました。

工事の内容は洋瓦を剥がして石粒付鋼板(FSストーン)に葺き替える工事依頼でした。石粒付鋼板はお助け隊のHPを見て、指定です。またルーフィングも30年以上の耐用年数を持つ、NEWライナールーフィングです。

30年程度でルーフィングの耐用年数が尽きた屋根の例

 屋根の寿命を遥かに越えて雨漏りが発生していました。しかし、依頼内容は、雨漏りがするのと、耐震の為に屋根を軽くしたい、ついては瓦を降ろして、軽いガルバリウム鋼板か石粒付鋼板に交換したいという依頼でした。チェックの為に瓦を剥がしてみたところ、ルーフィングが劣化し、ボロボロでした。お客様ご自身が自覚していた雨漏り箇所は3箇所、しかし、どこでも雨漏りの危険がありました。

・・・葺き替え必須の屋根でした。雨漏りの放置期間は結構長く、ルーフィングの状態に気づかなったようです。まあ瓦を上げて見ないとルーフィングの状態を正確にはわかりませんが。

写真左:ルーフィングがボロボロで無くなっています。右は剥がした瓦を元に戻しているところ

瓦屋根築38年後、ルーフィング写真

築38年の瓦屋根の一部分瓦を剝がしたところ:防水材、ルーフィングがぼろぼろで無くなっているのがわかります。

ルーフィングの耐用年数がきたらどんな屋根でも葺き替える「必要」があります。(絶対か?先を読んでください)しかし、ルーフィングって外から見えないので困りまが、でもこれが基準と思います。あまり書かれていないのが不思議!(2020年3月)

ついでに言うと、瓦が欠け、ヒビ、割れ、瓦の消失があってもルーフィングがしっかりしていれば雨漏りは発生しません。基本の理屈。

相談内容:

上の写真のお客様:築38年の瓦屋根(S型瓦)で瓦のヒビ、欠け、雨漏りなどがあり、瓦はかなり古い家なので、他のリフォーム業者にこの瓦はもうないので葺き替えをしないといけない。訪問業者からは、築年数から直ぐにでも工事をしないと大変なことになる。今週中に契約をもらえれば30%引き、得なのでこの際是非葺き替えを・・・と言われて、思案しています。葺き替えに反対はしないが、どうも納得のいく説明がどの屋根屋もない。部分修理ではだめな理由は何か?納得したら瓦をガルバリウム鋼板に葺き替えようと思う。詳しく説明してもらいたい。

という電話での相談でした。かなり長い時間説明をしました。要約すると・・・

回答:

築30年以上経過後、雨漏り、瓦のヒビ、欠けが確認されたら、ルーフィングの状態が重要です。瓦の状態ではありません。ルーフィングがきちんと生きていれば部分修理で対応可能です。でも写真のようにボロボロだったら葺き替えが「必要」、ルーフィングの交換です。部分修理は代替製品の検討が必要。

葺き替えの理由は簡単に言うと以上なのですが、付随する疑問が沢山あると思います。

  • 葺き替えなくて本当に大丈夫(雨漏りが)か?
  • 瓦のヒビ、欠け、瓦が失われたら部分修理はどうやってやるのか?
  • 瓦が本当に生産中止になっていたら?部分修理は可能なのか?
  • コーキングを良く聞くが、それで大丈夫? などなど・・・

屋根の葺き替えが必要なのはルーフィングがだめだから!

何故、本当のことを言わないのか?不思議です。相談にあるこのリフォーム業者は、屋根のことを本当に知らないのかもしれません。瓦が製造中止になったから修理ができない!!本当ですか??

お客様も本当のことを知らないと、正しい判断「葺き替え」なのか「部分修理でOK」なのか?間違ってしまいます。この場合、瓦が生産中止で修理ができないからではなく違った理由で葺き替えが「必要」です。でも「絶対」に葺き替えなければいけないわけではないです。部分修理もできます。瓦は代替製品を探す。(手間はかかりますが・・・)

契約が決まってからですが、案の定、瓦を開けてみたらルーフィングはボロボロで無くなっていました。

この相談例では「葺き替え」が「必要」な本当の理由は、ルーフィングがボロボロで真上から降る雨は防げますが、台風などで横殴りに降る雨、下からあおるような雨になると、瓦の隙間から水が侵入し、ルーフィングで防ぐはずが野地板まで水がまわってしまいます。しかも野地板間に隙間がありますので、この隙間から天井に水が達します。

それで雨漏りを完全に防ぐには、ルーフィングの交換が必要でその為に「屋根葺き替えが必要なのです。これが本当の屋根葺き替えの理由です。

写真上でのお客様の例では、地震の心配もあってガルバリウム鋼板での葺き替えをお助け隊の提携屋根屋が契約しました。決してこの瓦が製造中止になったのが理由で葺き替えをお薦めしたわけではありません。リフォーム業者の言うことは間違っています。

その瓦が生産中止でも部分修理はできるか?

当然できます。

同じ製品がなければ代替製品を使います。瓦はJIS規格品で、例えば写真例では「S型瓦」です。JISA5208、制定年1954年10月です。2020年から66年も前に既にあったS型瓦でその規格の番号は;49Aと49Bがあり寸法も決まっています。つまり、屋根に登って瓦の採寸をして同じ型のS型瓦の代替を探せばよいとなります。そのメーカーのその製品の同じ色は無くても、同じ寸法で同色系の材料はあるはずです。

ヒビ、欠けた瓦は代替品でとりあえず応急修理はできるはずです。多少収まりが悪くてもコーキングしてやれば当面はひどい雨漏りを防げるのです。このリフォーム業者は、直ぐに「この瓦は製造中止です」と言ったのなら疑ってかかるべきです。

〇〇〇会社の〇〇〇S型瓦は既に製造中止になっていて、代替品は〇〇〇ですが、色がかなり違っていて、それでも良いですか?・・・

これが正しい回答です。

しかし、実際にこのプロセスを実行してくれる屋根屋がいるか?探さないといけません。その屋根屋が車で1時間もかけてやってきて、瓦を5枚修理してほしいという仕事を喜んでうけるか?考えてください。できれば近所の瓦に電話して瓦の型、枚数、修理個所、足場が必要かどうかを詳しく説明してやると受けてくれる確率が増えます。

それでも断られる場合は、自身で瓦を手に入れることです。業者の手間を大幅に省いてやるのです。瓦の販売はホームセンターでは手に入り難いので、直接瓦のエーカーに問い合わせるのが良いかもしれません。メーカーはインターネットを探します。そして個人で修理用として手にいれるにはどうするか?その地域で修理してもらえる業者を紹介してもらえるか?聞くのも一つの手です。

部分修理でルーフィングがボロボロのままでも雨漏りは大丈夫か?

「大丈夫か?」この質問は山のようにきます。この瓦屋根の場合は簡単には答えられないです。大丈夫の意味は「雨漏りはしないですか?」ですが、場合によっては雨漏りはします。または「大変なことになりませんか?」の意味もあるように見えますが、きちんと対応すれば「大変なことにはなりません」

昔のルーフィングは耐用年数がせいぜい20年程度、30年経過してもしっかり残っている屋根もありますので、一概にはいえませんがおおよそ20年が耐用年数です。この屋根は新築してから38年。雨漏りは去年2019年の台風で始まったようです。「ようです」は、もしかしたらそれ以前に起きていたかもしれません。

30年ごろにはルーフィングは既にかなりの部分で劣化していたと想像するのが妥当です。でも「大変なことにはなっていません」

ここの家は他の家に囲まれていて、横殴りの雨でも他の家が盾になっていて、被害が少なくなっていたと考えられます。つまり巻き上げる雨、横からの雨がふると瓦の隙間から水が侵入してルーフィングがしっかりしていないため、雨漏りになります。

しかし、台風、爆弾低気圧は何日も続きません。1日程度、1昼夜程度です。もし瓦が数枚飛ばされて、そこから雨が侵入したら、超応急処置でブルーシート、とにかく部屋に侵入する水を防がなければなりません。でもこれで家が倒壊したり、洪水のように家が浸水したはしません。

屋根葺き替えが「必要」と「必須」とは違います

災害でもない限り屋根の葺き替えが「必須」である屋根とは相当の被害を受けた屋根です。台風、地震、火災、爆弾低気圧などで瓦が屋根の半分が飛ばされた、下地を残して屋根材が破損したなどなどです。その時は家は大きく被害を受けている場合が多く、屋根屋がよばれるより建築会社、工務店が行きます。「葺き替えなければならない」ような屋根とは大変な被害を受けた家です。

普通の雨漏りで「葺き替えなければならない」屋根はそうそうありません。

また屋根を「葺き替えたい」は「葺き替える必要がある」とも違います

20年以上経過した屋根は殆ど、屋根を葺き替える「必要」がある屋根と思います、本当は劣化したルーフィングを新しいルーフィングに交換する必要があります。でもルーフィングが残っていれば、雨漏りする度に部分修理でも大丈夫です。

でもいつ再び雨漏りが発生してもおかしくありません。その度に修理しても問題ありません。技術的には。でも安心して暮らすには葺き替えた方が良い。

雨漏りを長時間放置してはいけまんせがこれが正解。

しかし、ここが一番悪い業者の巧みに誘導されるところで、やたら不安を煽り、葺き替える「必要」を「必須」のごとく恐怖心を巧みに使って屋根葺き替えに誘導するわけです。気をつけてください。

お客様の希望で葺き替えても良いのです。必要があっても葺き替えないでください。とは言いません。でもその意思の決定に必要な情報、今屋根はどうなっていて、どうすることができて、どのようなことになるか? ならないか?正確で正しい見立て、屋根の状態を知る必要があると思います。

お助け隊も屋根葺き替え工事関係会社なので、業界では言わないこと、屋根屋が言いたくないことも言います。正しいこと(100%かどうか?)理屈に沿ったことをお知らせすることに努力したです。

屋根葺き替え工事の見積依頼もお待ちしています。相談からでも結構です。

 

まとめ

ルーフィングが耐用年数を超えたら屋根葺き替えの「必要」があります。

しかし、絶対に葺き替えねばならないことはありません。部分修理でも対応可能ですが、次の雨漏りはいつ起こっても不思議ではありません。

 

以上になります。

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