トタン屋根、最も簡便なカバー工法/低コスト、短工期
トタン屋根は、材料の名前で屋根形式としては「瓦棒」と言います。この瓦棒の葺き替えでは、一番コストが低い方法;既存の材料を撤去せず「簡易カバー工法」で瓦棒の屋根が葺き替えられます。また、屋根材はトタンではなく、ガルバリウム鋼板(耐用年数25年以上)で葺き替えが可能です。
この屋根葺き替え例は、築40年、二階建て瓦棒、トタン屋根、寄棟の葺き替えになります。雨漏りはなし、塗装は10年前にしてあります。その塗装もところどころ剥げがあり。棟部分、軒先部分の劣化が進んでいました。屋根の年数も結構あったので、この際費用が安ければ葺き替えるとのことで、この工法が採用されました。
ガルバリウム鋼板の瓦棒完成写真です。
カッパ部分(瓦棒の棒の部分)はトタンのカバーがしてあり、芯材の様子は不明なのですが、葺き替える際にカッパは全て撤去します。軒先部分では、雨水が入り込み、15箇所ほど腐食していました。この修理も実行。軒先から腐食した部分を切断し、芯材の補強、ガルバリウム鋼板のカッパを被せた工事です。
棟部分、1箇所腐食のひどい部分がありました。ここも修理して、ガルバリウム鋼板の棟板金の施工です。この周りは塗装の劣化、剥げがありました。芯材は修理、ガルバリウム鋼板の棟板金を被せです
10年前に再塗装しているので、全体としては状態はそんなに悪くはないです。塗装の剥がれはところどころありました。
ガルバリウム鋼板による簡易カバー工法:
瓦棒の簡易カバー工法とは、既存のトタンの上から、保護シートとガルバリウム鋼板を施工するだけで綺麗な屋根葺き替えが出来上がります。下の写真は、その工程を撮した写真で、赤トタンに異種金属同士が重なると腐食を誘発しますので、保護シートかルーフィングを施工します。ここでは保護シートです。その上からガルバリウム鋼板を瓦棒形式で施工していきます。
異種金属接合の不具合:
異なる金属をくっつけると、そのイオン化傾向の違いにより、どちらかの金属が腐食します。それを防ぐために金属間にシートを挿入します。これが保護シート、ルーフィングです。また、トタンに穴が空いていない場合、錆があまりない場合は、簡易カバーした下のトタンでも水を通さないので、防水材の役割を果たしてくれます。
また下からの湿気によって、下から腐食も40年無いようなので、トタンの腐食は当分無いと思われます。上のガルバリウム鋼板は、塗装は徐々に剥げてしまいますが、メッキ層もなくなり、地金の鉄が腐食して穴があくまでには25年以上かかります。そして下のトタンがだめになるまでには、更に何年かかかるので、瓦棒の本体は相当長く持つことになります。これも重ね葺きの利点になっています。
保護シートを施工したら、瓦棒の棒と棒の間が通称ドブ部分と言いますが、ここを平板のガルバリウム鋼板の両端を折り曲げたもので、ドブ部分を施工します。写真では黒い部分が新しいガルバリウム鋼板です。
同様にドブ部分の施工です。棒部分はガルバリウム鋼板を垂直に折り曲げることにより、雨の侵入を防ぐことができます。棒の部分はカッパと言ってこの上にガルバリウム鋼板のカバーをして水の侵入を完全にシャットアウトできます。瓦棒は雨仕舞の良い工法です。
棒の部分にガルバリウム鋼板のカバーをして本体の完成です。
棟部分は、棟板金の施工になります。
以前の瓦棒形式では、軒先での雨の侵入が多くこの部分の劣化が早かったので、雨の侵入を極力抑えるために、端の処理をしてあります。写真右。
全ての軒先部分で端処理をした部品を使います。(テーパー)
完成写真になります。
棟から軒先を撮した完成写真
平板のガルバリウム鋼板と材料を加工する織り機
横葺きのガルバリウム鋼板屋根材は、加工は全て工場で行います。瓦棒では平板のガルバリウム鋼板を使いこの屋根屋さんのように現場でドブの形に加工しています。(写真右)材料のコストが安いのと現場の施工費用がそんなにかからないのが、この工法の強みです。
この工事の簡易カバー工法費用;
葺き替え項目 | 金額・費用 | 単価 | 単位 | 数量 | 備考 |
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カッパ(棒部分)撤去費 | ¥40,000 | 一式 | - | - | 剥がし&廃材処理費用 |
保護シート施工費用 | ¥49,000 | ¥700 | ㎡ | 70 | 異種金属の接触防止 |
瓦棒本体施工費用 | ¥315,000 | ¥4,500 | ㎡ | 70 | 本体:ドブ&カッパ新設、JFEガルバリウム鋼板 |
棟板金施工費用 | ¥90,000 | ¥ 4,000 | m | 22.5 | 棟板金、材料費含む |
税抜き工事計 | ¥ 494,000 | - | - | - |
この場合の工事では、棒部分の腐食修理、棟部分の芯材の修理を含む費用となります。
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