ガルバリウム鋼板の性能、特長

ガルバリウム鋼板のマーケット・生産量、屋根材のシェアー

ガルバリウム鋼板の屋根材の日本のマーケット(市場)について

国土交通省、総合政策局が発行する建設業界の施工高の統計があります。屋根工事の金額もここに載っています。ガルバリウム鋼板の屋根工事は残念ながら区別されていませんが、金属屋根工事について考察してみたいと思います。

日本の屋根工事全景:

屋根工事施工実績全体

グラフ1:日本の屋根工事完成高統計(屋根工事全体)

上のグラフは日本の屋根工事、住宅、工場、大型商業施設、大型建物、マンション、オフィスビル全ての建物の屋根工事の完成売上高をそれぞれの範疇で分けたグラフです。

屋根だけに限っての工事金額は全体で、約3,819億円(屋根工事施工完成高で)これは、住宅の屋根、工場、商業施設、倉庫、住宅以外の建物も全て含んだものになります。この内住宅だけの統計があって、住宅に限っての屋根工事施工高はこのグラフの灰色のグラフと黄色のグラフを抜き取って新たにグラフを作ると;

住宅の屋根・金属屋根の施工高

グラフ2:住宅の屋根工事、住宅の金属屋根工事施工高

こうなります。縦軸の金額スケールが変わっていますが、住宅の屋根工事施工の完成時の売り上げは、2007年から2016年は、凸凹はありますが、ほぼ1200億円程度で横ばいです。これに対して金属の屋根工事もそんなに変化はなく、2013年、2014年、2015年、2016年は、ほぼ400億円でよこばいになっています。

金属屋根とは、昔はトタン(溶融亜鉛メッキ鋼板)が主流で所謂トタン屋根は屋根の勾配が緩い専門的には2.5寸以下の緩勾配で良く使われた屋根材になります。あと、銅板、ステンレスなどがありますが、非常に材料が高価であり、神社仏閣、特殊な住宅、お金持ちの家にしか使われていないので、金属屋根材と言えば溶融亜鉛メッキ鋼板・トタンかガルバリウム鋼板でした。

しかし、ガルバリウム鋼板の価格が下がり溶融亜鉛メッキ鋼板とほぼ同じかそれより価格が下がると溶融亜鉛メッキ鋼板の競争力は途端に落ちて全く無くなったわけではありませんが、瓦棒(トタン屋根)は材料もガルバリウム鋼板で施工しています。ですから「トタン屋根」という言葉は徐々に死語になりつつあります。

ですから金属屋根材はガルバリウム鋼板が台頭していて、90%以上はこの材料で金属屋根工事が行われています。金額にして、350億円程度です。

ガルバリウム鋼板の屋根の新設、修理、葺き替えの総額は、お客様渡しの金額でおおよそ350億円になるかとかんがえます。

屋根工事施工実績:金属屋根工事施工実績

建設工事施工統計;屋根工事の項目は、新築、リフォーム、修理、葺き替え、など全ての屋根に関する工事全部の売上高なので、ここから注目するガルバリウム鋼板の屋根の売上高を類推しようと思います。

屋根工事全体を見ると、2016年では屋根工事全体では、4,844億円、これに対して次の年、2017年では2,580億円と前年度比で-46%以上も落ち込んでいます。これは、住宅着工の戸数をみても、2008年のリーマンショック以来の低さになっています。

しかし、金属屋根の売り上げ高を見ると、2016年度1,979億円、2017年度1,863億円と、落ちてはいますが僅か-5%程度になっています。

ガルバリウム鋼板、瓦、スレートの割合/住宅屋根工事売上高

ここで、住宅の屋根工事売上高をもう一度概観したいと思います。グラフ2です。直近の2016年度では、住宅の屋根工事売上高は、1,289億円、この中には、金属屋根、スレート屋根、瓦屋根で構成されています。スレート材料は、現在KMEWの独占で、この売上高は同じ建設工事施工統計にあります。

それによると、2016年度の売り上げは、296億円、ガルバリウム鋼板が約350憶円、よって瓦(和瓦、洋瓦)の売上高は約600億円程度と見込まれます。

かつては粘土瓦に取ってかわるのではないかとさえ言われたスレート、コロニアル、カラーベストなどと言われる薄型セメント瓦、アスベストの禁止によってその売り上げは激減し、主な製造会社の廃業、事業部の撤退、巨頭2社、松下電器産業の屋根材部門とクボタの屋根材部門はその生き残りのために合併しました。

 その会社がKMEWです。まだ、住宅施工の1/4弱のシェアーを持っているとは驚きです。そして、1995年の阪神淡路の大震災、東日本大震災の瓦屋根の悲惨な状況から少しでも屋根を軽くしたいということで、どんどん重い瓦をガルバリウム鋼板屋根に葺き替えています。瓦とスレートのシェアーをガルバリウム鋼板材がシェアーを食っているのです。賛否は別にして、SGLという新しい次世代のガルバリウム鋼板も開発されています。

ガルバリウム鋼板屋根は、瓦材料やスレート材料に革新的な製品が出てこなければ、少しづつではあるかもしれませんが、これから伸びることが確実視されています。

住宅屋根工事売り上げ構成

少し古い資料ですが、住宅の施工統計資料から、屋根工事の各材料別の構成を出してみました。瓦には釉薬瓦、セメント瓦、洋瓦など厚みがある瓦のことです。

資料にはスレートではなく薄型平板瓦となっていましたが、メーカーはKMEWとなっていました。KMEWのシェアー:97%

この2016年から2017年で住宅屋根工事高の変化が、-47%も落ち込んでいるにも関わらず、金属屋根工事(住宅)の売上高はー5%で抑えられていました。つまり屋根工事全体は約半分の施工だったのですが、金属(ガルバリウム鋼板)屋根工事はそのシェアーを伸ばしていることを言っています。

ガルバリウム鋼板屋根材メーカーは多数、スレート材料のメーカーはKMEW一社

現在、ガルバリウム鋼板自体のメーカーは、日本えは日本製鉄、JFEスチールの2社だけとなってしまいました。かつては、淀川製鋼、日新製鋼もガルバリウム鋼板を作っていました。日新製鋼のZAMは優秀なガルバリウム鋼板でしたが、日本製鉄に買収され、ガルバリウム鋼板を屋根材として発売する目途がたっていません。何故か?日本製鉄はSGLを屋根材メーカーに供給しているからです。日本製鉄は日新製鋼の「ZAM」をどうするか?見ていこうと思っています。

ガルバリウム鋼板を日本製鉄やJFEから買って屋根材に加工しているメーカーは、日本に10社程度あります。

ニチハ、アイジー工業、福泉工業、メタル建材、KMEW、セキノ興産、さいわいルーフ、月星商事、稲垣商事、マックス建材などです。

一方、スレート材料のメーカーはKMEW1社になってしまいました。かつては、セキスイ、ニチハ、松下の建材部門、クボタの建材部門とそうそうたる会社がアスベストのスレートを生産していました。そしてアスベストが2006年に禁止になるや、セキスイは屋根材事業から撤退、ニチハも自社の屋根材部門はなくし、チューオー(元ガルバリウム鋼板屋根材メーカー)を吸収合併し、松下とクボタはスレート事業から撤退してKMEWというスレート専業の会社を設立して屋根材部門の整理をしました。

 しかし、切り離されたKMEWは、アスベスト入りの屋根材と同等かそれ以上の優秀なスレート製品を生み出せていません。(これは私の私見ですが、自信をもってアスベスト入りの製品より優秀な製品が出来たのであればそのように宣伝するはずですが、広告を見る限りそのような様子はありません)

 

まとめ

ガルバリウム鋼板の住宅での屋根材施工売り上げは、2016年において350憶円程度で、屋根工事施工統計で2017年に屋根工事が半分まで落ち込んでも、金属屋根工事、ガルバリウム鋼板の屋根工事はそれほど落ちなかった。これは住宅ではガルバリウム鋼板の屋根工事のシェアーが伸びたことを物語るものと考えます。

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